絵に違和感あり!
★★☆☆☆
わたしが子どもだったころ、歯(乳歯)が抜けたら、それが、上の歯だったら縁の下に投げこんで、下の歯だったら屋根の上に放り投げたことを覚えている。そして、なんだかおまじないのようなお祈りのような言葉を唱えた。その言葉はすっかり忘れてしまったけれど、母の実家で歯が抜けたときに、若い叔母から教わったことを思いだした。英語圏(だけ?)の子どもたちには、歯の妖精(トゥースフェアリー)がいる。枕元に置いた歯を持っていく代わりに、コインを置いてゆくのだと伝えられている。
この絵本は、副タイトルの「妖精さん、わたしの歯をどうするの?」という幼い人たちの疑問に答えている作品である。妖精の住まい、持ち帰った歯を使って「何」をするのかなど、すべて絵が語る。
妖精が歯を使って何をするかは、読んでからのおたのしみであるが、この疑問に関する答えも楽しい。しかし、残念なことに、私には絵本の命ともいえる「絵」に強烈な違和感を持った。妖精も少女も「らしくない」のである。つまり、歯が抜ける少女が、わたしには「その年頃」には見えなかった。10代後半、場面によっては中年の女性に見えるのだ。丁寧に描きこんである背景の絵が、想像力をくすぐるだけにとても残念。「妖精」はかわいくあるべきだとは考えてはならないと、自分に堅く言いきかせたが、10歳以前の少女の姿についてはどうだろうか? 広く感想を伺いたいところである。