日米企業の従業員に対する見方の違い
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アメリカと日本の人事部について、その歴史的推移から最近の基調までの動きフォローしつつ、独自のアプローチにより分析。原題は"The Embedded Corporation"。人事管理には、財務基準を重視して従業員をコストとみなす考え方だけではなく、知識社会化の進展の下、人的資本の高度化が競争上の優位性をもたらすとする資源ベース・アプローチがあり、このような側面をより強く持つ日本的経営に対する著者の好意が感じられる。近年の日本経済の停滞について、評論家などがマクロ的要因の重要性を過小評価し、その要因を日本的経営という「ミクロ」の要素に帰そうとすることについて、パイの配分の変化を求める運動であると看過するなど、とても「安心」して読める内容。