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虚妄の成果主義―日本型年功制復活のススメ

価格: ¥1,680
カテゴリ: 単行本
ブランド: 日経BP社
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   成果主義を導入したものの、思ったように効果が出ないという企業の話を耳にすることが多い。社員側からすれば、収入が下がるリスクを冒してまで、難しいプロジェクトや長期間のプロジェクトに手を挙げる意味はない。

   本書は、そんな成果主義を真っ向から批判し、日本型の年功制の利点を論じたものである。著者の高橋伸夫は経営組織論を専門とする経営学者であり、日本企業の意思決定原理や組織活性化を研究課題としている。また2002年には、日本経済新聞の「やさしい経済学」のコーナーに、日本型の人事に関する連載を行っている。そんな高橋が一貫して述べているのは、日本型年功制がいかに洗練されていてすばらしいものであるかということである。また、昨今急に“輸入”されたかにも見える成果主義であるが、その誕生は古く、現在では必ずしも欧米のスタンダードとされているシステムではないことも述べている。

   本書を読んで分かるのは、日本型の人事システムとは、目先のお金で報いるシステムではなく、次の仕事で報いるシステムだということだ。また、若者が損をしがちな古くさいシステムのように言われているが、その成り立ちは極めて合理的だということも理解できる。難解な内容ではあるが、平易な語り口で書かれているので、理解に苦しむことはない。むしろ、人事システムを語るうえであまり問題にされてこなかった部分が見えてくるため、今までの成果主義や年功制に関する論争の事実誤認が分かってくる。

   人事関連の仕事に就いている人はもちろんだが、経営のトップ、あるいは経営に参画している層の人に一読をおすすめしたい。本書は、人事システムの話だけではなく、外圧に右往左往しがちな、日本企業の経営全体に対する警鐘にもなっている。(朝倉真弓)

今更ですが非常に良書でした ★★★★★

もはや今の時代は揺り戻しがあるが、人事制度としての成果主義が絶頂期の時の、ずいぶん前の本ではあるが、今更だが非常に良書であることがよく分かった。要は、「日本型年功制のどこが悪いのか・良さではないか」という主張であり、東大教授だけあって感情的でもなく、経営学的な学術研究経緯を踏まえてはいるものの理屈っぽくなくとても好感が持てる内容である。

要は、「人は金では動かない」ということだろう。とても内容が濃く、城繁幸「内側から見た富士通「成果主義」の崩壊」とは違った面でとても面白い本でした。もっと前に読んでいたらとも思った。
論旨は明快。(若干、異議あるが…) ★★★★☆
論旨は明快である。

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成果主義の金銭的動機づけは、欠勤・離職の意思決定には影響するが、効率的に作業するかどうか(仕事のやる気)には影響しない。
後者に影響するのは、仕事のやりがいや責任・昇進などの“内発的な”動機づけであると、過去の統計調査から言うことができる。
したがって、給料ではなく次の仕事の内容で報いる日本型の人事システムでは、成果の報酬への連動を排除した“日本型年功制”が有効である。成果主義の流行は、過去100年間の経営学の経緯をなぞっているにすぎない。
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評者は、上記の筆者の研究結果に異論がある。
まず、「人は食うためにも働く」という重要要因を考慮していない。
本書に従えば、「日本型年功制」は「生活費保障型賃金」であるという反論になるのだろうが、教育・医療ローンや消費者ローンの興隆に見られるように、従業員の生活費を保障する賃金制度を構築できる時代ではない。また、“内発的に動機付けられた活動”の例として「常に向上心と競争心をもち、より高い目標・生産性にチャレンジして、目標を上方修正して標準を改訂していく」トヨタの改善活動(本書172p)も、“内発的”側面のみとは言い切れず、「トヨタの闇」で指摘されているように、改善提案自体のノルマ化も見られる。また、本書で根拠とされている統計調査は「多くの場合、作業者の可能性をはるかに下回る遂行レベルで十分に職務を維持できる」環境下のものであるが、納期がシビアであるようなプロジェクトではそうもいかないだろう。

ブログ調のくだけた筆致とは裏腹に、内容は経営学とりわけ数理的意思決定理論が中心の、学術的で読みがいのある内容となっている。私は腑に落ちない部分があるので星4つとした。今後の理論的検証を待ちたい。
徹底的な姿勢 ★★★★☆
徹底的に年俸制を批判し、日本型年功制を擁護している。客観的な能力評価よりも主観のほうが良いという主張は一見独断的であるが、その説明には説得力を持つ。
業績評価に行き詰まりを見せている現在において、その批判の内容は的確と思われるが、それでは、本当に日本型の年功賃金が、全ての企業において可能であるかは疑問がのこる。
著者は日本の人口における年齢構成と企業の年齢構成は一致するものではないとの主張であるが、日本全体で見るかぎり、若者が減少し、中高年の年齢層が増えていることはまぎれもない事実であり、多くの企業ではピラミッド型の年齢構成は不可能ということになる。
もう成果主義は止めよう ★★★★★
 この本では、外国から様々な経営手法を取り入れて次々と制度を変え続けた近年を振り返り、従来の日本型の年功制度は、どんな成果主義よりましだと言い切っている。年功序列制度ではない。年功制度である。(ただし運用面での改善は必要と言っている)
 従来の年功制度であっても、出来る人は出世し、出来ない人は閑職に行った。成果主義により社員同士が疑心暗鬼になることもなく、チームワークと未来への希望を重要とする年功制の方が優れていると説く。
 ただし、現状では出来る人間がより希望を抱けるポストがないとか、給料が上がる保証がない、給料が安いから問題が起こる、など様々な反論があるのは承知している。
題名がでかすぎましたね ★★★★★
東京大学教授が書く、成果主義の課題とその周辺の考察

本の構成はとてもシンプルで、第一章が理論的背景から
言い得る知見で結論でもあります。
2章は、日本の経営、つまり終身雇用の誤謬について述べています。
3章は、私にも以外だったのですが、生産性向上の手段というのは
 ほとんどなく、満足度を上げることとの混同について述べています。
4章は、再度、主題に戻って、成果主義の問題点の裏付けを
 いろいろな角度から行っています。

 著者は、目一杯、学者のため、他の学者の知見の上に論理を
展開していっているため、全く反対の立場の人の事を考えていません。
が、ある意味、(成果主義には何もメリットがない)という
ないことを証明することの難しさから記述できないのでは無いかと
類推します。 まずは、成果主義が良いか悪いかという価値概念を
置いておいて学術書として読むのが正しい気がします。

 細かいところはいろいろ齟齬はあるものの、実験や調査からの
結果はとてもおもしろく、たとえば、成果主義の”差”とは
実は100円とかの非常に少額でも機能するとか、生産性と関連する
事項とは、想定していたものとは全く異なるとか、いろいろな
知見が詰まっています。

 労働者のスキルは5年程度のトレーニング以降は伸びないなど
違和感のある設定もあるものの、全部が全部そうではないです。
是非、自身の偏った認識を正しくするためにもこの本は
お勧めできると思います。