女同士でモテ競争(80頁 恋愛至上主義の落とし穴 より)
★★★★★
なにしろ学際的で、国際的、かつ実用的である。
日本の事情を説明するのに、各国の歴史と変遷、映画の解説
(「草原の輝き」93−94頁)がでてくる。
(もてたければ)女性誌を買うナ、週刊プレイボーイを!
など、わかりやすくてすっきりする。
これは将来を見据えたうえの亡国論、というより、いまここに存在する滅びつつある日本にたいする愛情深くかつ冷静な嘆きだ。
活字大きく、読みやすい。すべての年代に一読をすすめたい。
興味深い考察
★★★★☆
セックスレスの原因を生物学的「進化」と「社会制度」や「経済」「宗教」等複合的に考察した興味深い本。性愛をヨーロッパやアメリカの捉え方と日本の捉え方を比較したり、宗教の側面から比較したり、好奇心を刺激してくれます。でも本書で少子化は解決されないでしょう。なぜなら本書が指摘している状況がそのまま現在の状況であり、その状況では少子化を解決する道は見えないからです。
でも、知的好奇心を十分すぎるくらい刺激してくれる本であることには違いありません。
重要な指摘
★★★★☆
斎藤珠里氏の女性が満足するには「相手の男性への絶対的信頼感、
つまり愛されている確信が必要なんです。Gスポット云々かんぬんは、
その先の話です」という指摘は、ともすれば忘れがちな性愛と
愛のつながりを改めて思い出させてくれました。
鹿島茂氏のセックスレスは日本の夫婦の緊張を高めているという発言には
胸を突かれました。本書にもありましたが「夫婦喧嘩したらセックスしろ」
という昔からの教えは、人間の本質を見て語られた知恵なんですね。セックス
した後に怒り続ける人は少ないと僕も思います。
そんな大事なセックスをやらない人が増えているというのは問題です。
セックスレスの問題を、雇用対策や年金問題に劣らない重要性を持っている
と思います。日本人が面倒を消していった結果がこの悲劇を生んだという
ことを、この本から多くの人に読み取ってもらいたいと思います。
セックスにまつわる秘話
★★★★★
『超小型カメラを膣内奥に置いてセックスを観察した研究者がいた。女性がオーガズムに達したとき、子宮の先がイソギンチャクのようにぶわーっと広がって、バキュームのように精液を吸い込んだというのだ。女性のオーガズムは受精率を高めるためにあった!少子化の原因のひとつがこのへんにあるかもしれない。』などなど、セックスの古今東西、非常に興味深い話題が豊富に盛り込まれている。おかげで通勤中の降車駅をひとつ飛ばしてしまった。
少子化問題関係者はこれを読むべし!
★★★★☆
厚労省や地方自治体は、子育て支援策といえば、子供ができてからの支援、育児手当・教育費補助・託児施設の充実にばかり目が向いている。TVドラマの「婚カツ」のような集団合コンを企画する自治体はまだ少ない。少子化の原因が「作りたいのにできない」「結婚相手がいない」だったら上記の諸策も効果があるだろうが、現実は違う。現代の既婚者は、子供は作りたくないし、セックスもしたくないのだ。この事実を直視しないことが少子化対策の不毛の原因だと思う。
子供不要・セックス不要という問題に、本書は正面から応えようとしている。本書の仮説「めんどう」を省くことで利潤を得ている現代資本主義そのものが、子供とセックスを不要にしたという仮説には、説得力がある。ポルノ映像への窓口たるPCも、コミュニケーションで育児ストレスを含むあらゆるストレスを発散させる携帯電話も、NEC、ソニー、パナソニックといった大企業の有力商品である。子供とセックスを不要にしすればするほど利潤がでる社会経済構造。著者達は社会経済構造を変革せよという単純幼稚な主張はしない。彼らは「こうなっている」といって、そこで悩んでいる。
我々自身が我々の生活をどこまで変えられるか、環境問題と少子化問題は似ていると思った。本書の仮説をさらに検証する続編を期待する。