ローティ『哲学と自然の鏡』への導入
★★★★☆
冨田恭彦による小説形式の哲学入門は、もう御馴染みのものだろう。本書は、哲学教師と物理学専攻の学生の対話によって話がすすむ。テーマは、認識論だが、それはローティの主張する哲学史の枠組にそってなされる。ローティのテクストから引用がなされることはないが、本書を読み進めるうちに、読者はローティの考えを知ることになる。『哲学と自然の鏡』を手に取る前に、本書に目を通しておくと理解の手助けにある程度はなるだろう。
また、日本ではいい加減に使われている「言語論的転回」という言葉の正確な理解も得ることが出来るだろう。本書に限らず、冨田の本を読めば、分析哲学についての正確な知識を獲得することが出来、極めて有用である。