「ばらの花」で評価が分かれますな。
★★★☆☆
僕は矢野顕子とくるり、どちらも大好きです。ピアノ3部作も既聴だったので、本盤の評価は未発表3曲を中心となる訳ですが、賛否両論の「ばらの花」が僕も少し引っかかったために星は渋目につけました。
この曲はくるりファンでも相当思い入れを持っている人が多い名曲ですが、ここまで矢野流に崩してアレンジされると、パっと聴いてもくるりファンですら原曲を分かんないだろうと思います。そんな風に完全に自分の音にしてしまう才能と個性は流石だし、ホロっとくるところもあるにはあるんですが、やっぱり僕は原曲の切なさに思い入れが強すぎるんですかね。青春の記憶と身体の一部になっちゃったような曲なので、もう少しストレートにやってもらった方がしっくりきただろうと思います。(とはいえ、もし矢野顕子が再チャレンジしてくれるなら、やっぱり聴いてみたくなると思うのですが。)
ことばをそっと止める際の彼女の柔らかな空気の支配力。
★★★★★
矢野顕子ほどカバーが面白いミュージシャンはいません。というのも、彼女のカバー手法は曲の徹底的な分解と斬新な再構築を見せるからです。単にアレンジを着替えるのではなく、原曲の核心となる要素を抽出し、それを元に譜割りを再構成して主題の行間を一層感じさせるように仕上げるので、全く新しいうたが誕生するのです。まるでうたの中にあったもう一つのうたを剥き出すよう。一方繊細さも奔放さも自由に描ける歌表現の自在さや、勿論有名なピアノプレイでの歌心豊かな音色・高度な技術力も、抽出した主題を表現する上で無くてはならない武器であり聴き所です。これらずば抜けた音楽的創造力と芸術的感性、そして熟練された手段が揃った矢野のカバーこそ、他では聞けない斬新さを味わえるんです。
例えば「しようよ」では詞中で伝えたい素直さを前面に出した譜割りです。そしてピアノや歌い方の中に詞の世界が一層息づいた日常風景を見せるのです。するとことばの活力は更に生き生きし始め、主題が原曲よりはっきりと浮び上がり、メッセージがしっかりとこちらへ届くのでした。
また「ばらの花」はことばが新しく音を決めます。まるでジャズのアドリブ。メロディから自由になったことばたちは自分で新しい音を五線譜に定めるよう。秩序だった原曲の淡々とした空気感と違い、感情意思をこめられたことばたちが表情豊かに独特の間合いを作り始めてゆくのです。全く別の曲になるとは当にこれですね。だからくるりの同曲とは違う聴き方、効用があるんです。分解と再構築のキュビズムのような、前衛的で新感覚の抽象画に面白みを覚えてくるときと似ていました。
「愛について」は一つ一つのことばにこめる表情から、友部正人の詩にある素朴さ、深さを再抽出し伝えてきます。例えば母と子、そして男それぞれの“生きてゆく”の歌い方にこめた力をきくと、表現者の深みに触れられました。行間の趣と詩の綺麗さで最もお薦めの曲です。
「ニットキャップマン」も素朴さの中に儚さと悲哀を感じさせ、淡々とした構成が非常に感動的ですし、詞へのめりこませる矢野のストーリーテラーとしての力量も聴き所です。
唱歌「椰子の実」のアレンジは非常に爽快。これぞ矢野の新解釈で軽快なピアノは小さな実の旅を小気味よく想像させる一方、島崎藤村による文語詩の響かせ方も斬新。椰子の実一つ、と最後にリフレインする中に新しい感覚で描かれた風景があります。
作品はどこをとっても素晴らしい楽曲ばかりなのです。
内容もジャケットも良いのですが
★★☆☆☆
内容もジャケットも良いのですが・・・iPodでここにしか収録されていない『ばらの花』『電話線』等の名曲が転送できないのはさすがソニー!いやらしいですね。おかげで『ばらの花』をなかなか聴くことができなくなりました。このあとアッコちゃんはヤマハへ移籍したので其の後の曲はちゃんときけます。『いままでのやのあきこ』に『あたしンち』を入れてくれたので『あたしンち』は聴けるようになりましたが『ばらの花』をいっそ入れてほしかったです。このハイブリッド盤だけじゃなく、通常盤も改めて出してください!買いますから!!
アキコ・ワールドへ
★★★★★
先日図書館へ行ったとき、「ピヤノアキコ」というCDに出会いました。以前、矢野顕子さんのCDは数枚持っていましたが、引越しの際処分してしまいました。懐かしさもあって借りてきたのですが、ピアノのだけの弾き語り。アキコさんの優しい歌声とピアノの美しい旋律に改めて衝撃を受けました。
このアルバムのどの曲も、疲れたサラリーマンの心を癒してくれます。まるで母親に抱かれて眠る子供達が覚えるような安堵感。
聞いたことのない方は、是非一度聞いてみてください。特に企業戦士として日々闘っている方々には、だまされたと思って聞いて欲しいと思います。心が洗われるようですよ。お勧めです。
アキコ・ワールドへ
★★★★★
先日図書館へ行ったとき、「ピヤノアキコ」というCDに出会いました。以前、矢野顕子さんのCDは数枚持っていましたが、引越しの際処分してしまいました。懐かしさもあって借りてきたのですが、ピアノのだけの弾き語り。アキコさんの優しい歌声とピアノの美しい旋律に改めて衝撃を受けました。
このアルバムのどの曲も、疲れたサラリーマンの心を癒してくれます。まるで母親に抱かれて眠る子供達が覚えるような安堵感。
聞いたことのない方は、是非一度聞いてみてください。特に企業戦士として日々闘っている方々には、だまされたと思って聞いて欲しいと思います。心が洗われるようですよ。お勧めです。