高校生の頃通った高田馬場のレコード屋には、
ソウルの名盤がずらっと並んでいた。
お金のない高校生の吉里爽は、それらを買うこともできず、
いかしたジャケットを眺めたりするくらいしかできなかった。
でも、確かに、これを高校時代に聴いた覚えがある。
買ったばかりのウォークマンで、夜中に目を閉じて、
67年の彼の地へと心を飛ばして・・・。
鈴木啓志さんのライナーノーツによると、
このアルバムはオーティス単独のツアーのライヴ音源ではなく、
スタックスレーベル全体のレヴュ-の中のベストテイクを
集めたものらしい。
ショーの構成としては、レーベルお抱えバンドであるMG's が、
入れ代わり立ち代わり登場するさまざまなシンガーのバックを務める
ようなものであったそうだ。
オーティスは1回のショーで5曲程度を歌っていたらしいのだが、
何回かのショーのベストテイクをかき集めて、
あたかも10曲を続けて歌っているかのように編集してあるのだ。
閑話休題。
とにかく、全10曲を、中だるみなく一気に聴かせる。
キャッチーなホーンのリフが名高い 01., 02.,
バラードシンガーとしての懐の深さを感じさせる 03.,10.,
カヴァ-曲の 04., 05., 06., 09., など、選曲もよし。
‘ Goota! Gotta! Gotta, gotta have it! ’と「ガッタ!」を
連発しつつ、MG's のたくましいグルーヴと一体になりながら、
突き進んでいくオーティスの姿が目に浮かぶようだ。
会場を埋めているオーディエンスは白人が多かったように聞いているが、
「熱い」音楽に飢えているようなヨーロッパのオーディエンスの熱気も
伝わってくる。
聴いていると、「オーティス、いい奴!」って感じがしてくるね(笑)。