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最後の記憶 (角川文庫)

価格: ¥780
カテゴリ: 文庫
ブランド: 角川書店
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逆行する母の記憶。精霊飛蝗の翅の音が響く時、世界は血飛沫と断末魔で埋め尽くされる。 ★★★★☆
大学での研究を途中で辞め、アルバイト生活をしている主人公波多野森吾。

彼には白髪痴呆という若年性痴呆症を患った母、千鶴がいた。

彼女は、薄れゆく記憶の中、本人にしか分からないあるトラウマを思い出す。

それは、精霊飛蝗が飛ぶ翅の音、雷のような真っ白な閃光の中、

顔のない黒ずくめの男が、たくさんの子供達を惨殺する光景だった。

森吾は、専門医から「それは病気の特徴による、記憶の現在から過去への遡りだ」と聞かされた。

ほとんど正体不明のその病気は、場合によっては遺伝する可能性もある。

森吾は、自らも病魔によって記憶を失い、惚けてしまうのではないかと不安になり、そしてふとした時、彼は自分の髪が白いことに気がついた。

不安に駆られる主人公に、顔を切り裂かれた子供や老人、黒ずくめの者達の幻覚、そして飛蝗の翅の音の幻聴が追い打ちをかける。

幻覚に出る彼らは、「生きているのは楽しいかい?」と森吾に問い詰める。

主人公はその質問の答えが自分でも分かっていた。

幻覚は紛れもなく、母の語っていたトラウマが誘因だった。

森吾自身が惚けて死ぬか否かは母の親、つまり森吾の祖母の死因によって決まる。

森吾の幼馴染唯は、彼を連れて母の実家まで調査に乗り出した。

そこで明らかになる母の出生の謎、誰も知らない母が遭遇した事件。

世間では、児童を狙った連続殺人事件が相次いでいた。

死んでいく子供達に、いなくなる子供。

森吾が母の過去に触れた時、彼はこの世と並行して存在する異空間にいた。

迷い込んだ子供達の魂や生命力で構成された世界。

子供達を誘惑し、翻弄させるキツネの仮面の者達。

主人公がカツヤにあった時、母の過去は明らかになる。

顔のない「あいつ」は執拗に読者を不安がらせ、子供達の事件は不明な点を増幅させる。

母の過去を追うことで、自分の夢を思い出す主人公の姿や唯のサポートは

時に、私達からホラーという要素を忘れさせ、青春ストーリーのような美しい哀感をそそらせてくれる。

飛蝗の音の正体が明かされた時、「今日」が繰り返される異世界で子供達への殺戮が執り行われた。
トリック、ホラー目的の読者には向かない ★☆☆☆☆
トリックを楽しみにしている人にとっては本作は肩透かしでしょう。
ホラーについては口直し程度しか含まれていません。
結末はかなり早い段階で予測できます。
主人公の性格は一貫性がなく唐突であり、読み手はおいてけぼりにされる感じ。
著者がキャリアを重ねるにつれ避けられない変化に私がついていけないだけなのか、
ともかく本作を書かれた意図が分からず残念でした。
後半失速?でも全体としてはお勧め ★★★★☆
館シリーズで有名な綾辻さんですが、ホラーや短編もなかなかいいです。綾辻さんのホラーは、おどろおどろした感じやグロテスク感はほとんどなく、美しさや妖しさ、悲しさや切なさを感じさせる作品がほとんどです。この作品もそうです。前半はかなりいい感じです。ただ、後半のストーリーの核心部分(非現実世界の部分)になって、それまでいらいらするくらい思考回路と行動が消極的だった主人公が、まるで別人みたいに思考を働かせ、行動する展開はちょっと不自然な気がしますし、会話(やりとり)がくどい感じがする点が残念ですが全体としてはいい出来です。ラストのオチというか、種明かしでのストーリー構成はあの頃大ヒットした映画「バックトゥザフューチャー」の影響を受けているような気がしますね。この作品のキーワードは「現実逃避」「神隠し」です。
残念な作品でした ★★☆☆☆
ミステリと思って読んでみたら、少し違ったようです。
綾辻さんといえば、ミステリ作家という認識を持っていたので、
本作を読了した後は、いささか拍子抜けしました。

それでも面白ければよいのですが、これはイマイチでした。
あとがきで、題材が3つあったのを、本作の内容を編集者から提案されたと述べていますが、
これは失敗ではないかと思います。
何よりも、本作の内容が一番地味だと、
作者本人が語っているのは、かなり問題ではないでしょうか。

今までの作品では、ホラー要素がありながらも、ミステリとしてきちんと決着していましたが、
本作はそれらとは異なり、何故、主人公がいきなり異世界に行くことができたかなど、
具体的な説明は成されていません。
そのような描写が、現実的な内容の間に挿入されるのでギャップを感じて、
世界に入っていくことができませんでした。
最後に主人公がとった行動も理解できなく、分量も約500ページにするほどの引きは感じませんでした。

綾辻さんといえば、1987年に 「 十角館の殺人 」 を読んでから、割合とひいきにしていた作家さんですが、
本作は、今まで読んできた綾辻作品 ( 20作以上 ? ) の中では、一番詰まらなかった作品ですね。
駄作?試作? ★★☆☆☆
死ぬ直前、人生最後の記憶は何になるのだろうか。進行性の痴呆に冒されたとき、最後まで強固に残る記憶(こちらも「人生最後の記憶」と呼べるでしょう)は何になるのだろうか。想像するだに恐ろしいテーマですが、そこをホラー調・ミステリ風に仕上げてしまうのところはいかにも綾辻流。さすがと言っておきましょう。

ただ、作品の完成度については・・・。
正直「綾辻どうした!?」と言いたくなるほどの駄作でした。解説では、既存の小説の枠組みに囚われない挑戦的な試み、だとか、綾辻にとってこれまでで最も冒険的な一冊、だとか言ってなんとか本書を評価しようとがんばっていますが、僕には単純に駄作としか思えません。ただ本作品は評価が真っ二つに分かれているようなので、綾辻の新境地としてあたたかく受け入れている人たちも一方では多いのかもしれませんが。。

本作品が本当に「挑戦的な試み」であり「冒険」であったのならば、ぜひ今後は一皮むけた本物の「新境地」を見せていただきたいものです。