誰がどのような著書で、どのようなことを言った、という形式ではありません。テキスト、制度、主体、権力などのテーマについて、この人は、こんなことを考えた、という感じです。デリダの分量が多いかな、という印象です。
素人です。ちょっとピンと来ない所も、沢山ありました。が、ポスト構造主義(と呼ばれる人々)が、何をテーマとしたか、どんなアイディアであったかは、わかった気がします。
薄いわりには、読みごたえがあり、結構読むのに苦労しました。
本書はポスト構造主義の総体を語るものではない。ポスト構造主義について学ぶには、専門的な文献を更に読み込む必要がある。本書にある「参考文献」や「読書案内」はその役に立つであろう。著者はポスト構造主義に触れながら、その含意する「よくよく考えてみること」の重要性を説いている。この点が本書の、入門書としての良質さを示している。入門書の条件とは、そのテーマが持つメッセージを簡潔に示すことだ。メッセージが明らかにされていることで、初学者はそのテーマへの導入が容易になるからである。