互いの「あり方」を高めあう関係を養うために
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「自律」と「モチベーション」。
この二つは、組織(変革)論/手法において必ずといっていいほど出てくるキーワードです。
そして、それらのレベルを高めようと様々な手法(Doing)が提示されてきました。
「モチベーション」をネタにサービスを提供する会社やコンサルタントまで現れています。
しかし本書は、そのような手練手管に通じる前に(通じると同時に)、
大事なことがあるんじゃないか?と問いかけることを忘れません。
上に立つ/人をリードする者としてのあり方(Being)はどうなのか。
互いの関係性はどうなのか。高めあい認めあうものになっているのか。
そもそも人間は、何を求め、どのように判断し、行動に移すのか。
何があれば「動ける」のか。それを明らかにするための関わり方は?
様々な切り口で、「(人を動かす、のではなく)人が動く」ために必要な素養を掘り下げていきます。
書名には「リーダーのための」とありますが、現在は「メンバー」である人にも、必読の一冊です。
なぜならば、魅力的な組織を作るのは、決してリーダーだけで成されるものではなく、
メンバーという存在があって初めて成せるものだからです。
「選択理論」は組織を変える!
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会社組織を元気にするには、自ら周囲に働きかけ、自分を律することができる「自律人材」の育成が求められる。
そして、その自律人材に必要なのは、
「人は、直接相手(環境)をコントロールすることはできない」
「そして、自分も人にコントロールされることはない」
という“内的コントロール心理学(選択理論)”の価値観である。
上司がどう言おうと、給料が減額になろうと、自分の外側の問題は、自分で“直接”コントロールできないもの。
ここで重要なのは、“直接”コントロールできないということ。
自分の外側の環境は、間接的に影響を及ぼすことができるかも知れないが、それは「人は、直接相手(環境)をコントロールすることはできない」と考える内的コントロールの価値観に反するのである。
自律的人材は、自分で直接コントロールできないものには囚われず、自分で直接コントロールできる、自分の行動・習慣・考え方の方に目を向けている。
本書には、選択理論を導入し成功を収めた企業の事例がたくさん掲載されている。
「自律人材をどう育成するか?」そんな課題をお持ちの方に、必読の一冊かと思われる。
マネジメントの根底にある人間観
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この本は、「組織において働く喜びをどのようにして生み出すのか?」について知ることが出来る書籍である。
近年、組織開発、目標達成、課題解決、マネジメントの領域で自律型アプローチに関するスキルを紹介した書籍が発売されている。しかし、これらのスキルを扱う時には、その前提としてどのような人間観を持って人を捉えているのかが大きな意味を持つ。
本書では、自律型アプローチを扱う時に最も重要な意味をもつ人間観をOS(オペレーション・システム)になぞらえて分かりやすく解説している。
組織変革を期待する人に是非お薦めしたい良書である。