基本としての高校数学を学びたい方へ
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高校の教科書より丁寧に、分かり易く、自然な流れで書いてあります。
演習問題は、定理や公式に当てはめて解ける問題が中心です。解答は11頁にわたり、簡潔です。しかし、問題自身単純なものが多く、一工夫必要な場合にはヒントが記されています。
全6巻です。ただし、高校課程の数学1、A、2、B、3、Cの順序に対応しているわけではありません。例えば、本巻は微分積分・行列を中心にしており、数学3、Cの内容と思われるかもしれません。ですが、数学3、Cの内容であっても、極限は4巻目、楕円・双曲線は3巻目に収録されています。
その理由は、「流れのある数学の一つのストーリー」を語りたいという筆者の目的にあるのでしょう(はしがきより)。実際、
数列(3巻目)
→数列の極限→無限級数→関数の極限と微分法(以上4巻目)
→微分法の応用→積分法→積分法の応用(以上5巻目)
という自然な流れができています(ただし、この間に順列・組合せ、確率が介在しています)。
また、テイラー展開、微分方程式の初歩、上限・下限の概念の説明もあります。これらは、高校と大学のギャップを埋めるのに役立つでしょう。
高校数学の内容を知りたい早熟の中学生、受験勉強に追われて数学本来の楽しさを見失いかけている高校生、大学に進んで高校数学を復習する必要に迫られた大学生、数学に興味を持たれた社会人etc...基本的な高校数学を学びたい方にお勧めします。