洗練されたアレンジ
★★★★★
ルネサンス期全体を代表する曲といってもよいジョスカンのミサ・パンジェ・リンガに、
他3つのミサ曲が収録されています。
もともと別に出ていた物を一緒にしたということで、お買い得です。
合計4つのミサ曲は、当然ながら歌詞は同一、同じ作曲者の同じ技法に基づく曲。
しかしそれぞれがまったく違った表情を持っています。
手塚治虫の「火の鳥」の評論で、
「同じテーマを、違ったカードを使ってこれでもかと何度も提示してくる」
といったものがあったのを思い出します。天才はかくなるものかと。
そして心地よい、洗練されたアレンジで、
圧倒的な歌唱・構成力を見せつけるタリス・スコラーズの合唱。
一般的に分かりづらいといわれる中世・ルネサンス期の音楽を、
現代の人間にも聞きやすくアレンジしてくれているのだと思います。
過去と現在の職人の競演、必携の一枚(二枚)です。