トヨタの理念が簡潔に分かりやすくまとめられている
★★★★★
本書は、トヨタ自動車で20年あまりを勤めあげ、その後トヨタの生産方式
の導入と定着に努めてきた著者によって、トヨタの理念が簡潔かつ要点を
おさえてまとめられたものである。
タイトルにある通り、トヨタの理念の第一として人を育てること、つまり、
「人材」を「人財」にすることの重要性が掲げられている。
この理念を基盤にして、例えば、部下がしたミスを責めずにそこから学ばせる
ことを大切にしたり、上司が部下とともに動き一緒になって考えたり、
現場・現物を大切にしたり、常識に囚われない発想を大切にしたりといった、
他のトヨタの理念も紹介している。こういった理念も、「人づくり」の重要性
を認識しているからこそのものであり、説得力を帯びたものである。
本書の事例紹介や主張は、著者の経験を中心にしながらも、その根拠となる
文献に適切に当たっているのが印象的である。その文献は必ずしもトヨタの
ものとは限らず、他の企業のトップの言葉や理念を紹介したものもある。
文章も読みやすく、トヨタの理念を簡にして要をおさえて紹介したビジネス
啓発書である。トヨタの方針が全て正しいとは限らないが、世界でも指折りの
一つの企業の内情を知ることはできる本である。
今のトヨタの所業を見ると
★★★☆☆
内容は多分に概念的、精神論的であったとおもいます。
若松氏が書かれた他の本をよまれている人には、物足りないのではとおもいます。
キーワードとしては参考になるものはたくさんありましたが、具体性には欠けていたようにもおもいます。 これを参考にして明日から、部下への見方を変え言葉かけを変えよう というようにはなかなかいかないとおもいます。
加えて2008年度から9年度にかけてトヨタが行った行為を鑑みると 経済状況からして 企業としては、仕方なかったのかもしれませんが うーん本と違う とも思ってしまう面もありました。
日本を代表する企業組織論を現在も実行中。
★★★★☆
独自手法が国際標準になりうる数少ない日本企業、トヨタ。私の父はかつてトヨタの関連企業に勤務していましたが、国内で日産とシェアでしのぎを削っていた頃(30-40年程前)より『トヨタ本社の人間はちがう!社風が違う!』と口癖のように言っておりました。当時は関連企業の自慢話かと思って聞いていましたが、ほんとにすごい企業になってしまいました...一番大事なのは人づくりであり、人は組織を構成しているだけのものではなく、その組織をよくも悪くも変えうるのは人そのものであるという極めて基本的であるが忘れがちな事実に気づかされます。どの成長企業にも成長するには謎があると思いますが、謎が解けてもそれを実行に移す事は並大抵の意識の持続では難しいことを十分に認識させられました。凄い!
トヨタが全てなのか
★★★☆☆
書いてあることは正論。継続して成果を出している企業にふさわしい考え方
と思われる。人間の力を会した自働化そして人を育てる。
重要だが難しい仕事をどうこなしているかが良くわかる。
が、実際はうまく行っていないものもあるはず(ニュースになっているもの)それについてどう対応しているかも知りたかった
悩力が能力
★★★☆☆
「わしの言うとおりやるやつはバカで,やらんやつはもっとバカ.もっとうまくやるやつが,利口」は,トヨタ生産方式の生みの親である大野耐一氏の言葉.
言われたとおりしかできないマニュアル人間ではなく,
一を聞いて十を知る,一をやれと言われて十の結果を出す人間になる/を育てる
ためにはどうすればよいのか.
冒頭で著者は,人間の能力の差は,悩む力,すなわち「悩力」であると述べている.
「悩力」のある人間になるためには,「悩力」がある人間を育てる環境とは,
といったことを著者の経験と見聞に基づき,分かりやすく解説されている.
目に見える問題を解決し,物事を改善していくためには,
対症療法ではなく「環境を変えていくこと」が最も重要であると書かれている.
現場であろうと,管理部であろうと,上司でも,部下でも
誰でも何かを得ることができる一冊だと思う.