まじめにつけたとは思えないタイトルからして、すでにディープ・パープル・ファンの一翼を担う保守派層からの反発を買ってしまった本作『Bananas』。保守派層とは、この種のおふざけはシリアスなミュージシャンの作品にふさわしくないと考える手厳しいファン(フランク・ザッパなど聴いたことがないに違いない)や、このアルバム・タイトルの変更を求めて運動を起こした連中のことだ。だが、タイトルごときに振り回されないで頂きたい。『Bananas』は、強烈なリフに飢えた根っからのパープル・ファンの期待に応えると同時に、まったくパープルらしくない破天荒なユーモアをたたえた異色の楽曲によって新たなリスナー層をも魅了するはずだ。
現在のディープ・パープルのメンバーたち――ギラン、グローヴァー、ペイス、モーズ(リッチー・ブラックモアの代わりにギターを担当)、そしてドン・エイリー(かつてレインボーやオジー・オズボーンのバンドに在籍したオルガン演奏のスペシャリストで、最近パープルを円満に脱退したジョン・ロードの後釜にすわった)――は、昔ながらのロックなノリを再現してみせる。「House of Pain」(音楽はレインボーの「All Night Long」のような感じ。歌詞は「俺の女は不実だが、そこが好きなんだ」という感じ)や「Silver Tongue」がその例だ。
どんなに頑張ろうとトム・ジョーンズの色気に太刀打ちできる中年男はいない。ディープ・パープルは潔くそのことを認めている。だからこそ「Doing It Tonight」はセクシーであると同時に冗談半分な内容なのだし、ファンキーで茶目っ気あふれる「Picture of Innocence」は身持ちの固い娘たちに向けたイアン・デューリーの「Sex & Drugs & Rock & Roll」といえそうな曲になっているのだ。スティーヴ・モーズによるギター・インストゥルメンタル「Contact Lost」(パープル・ファンだったインド出身の宇宙飛行士カルパナ・チャウラに捧げられている曲。チャウラはスペース・シャトル「コロンビア号」の事故で亡くなった)とニュー・フォーク「Never a Word」の2曲は新境地を示している。一方、「Haunted」(女性ソウル・シンガー陣をフィーチャーした、胸を揺さぶる忘れがたいバラード)はディープ・パープル史上最高のチューンで、リチャード・アシュクロフトあたりが「最近のナンバー・ワン」に挙げそうだ。このレベルの楽曲がもう2、3あれば、『Bananas』は文句なしの大傑作になっていたところなのだが。(Kevin Maidment, Amazon.co.uk)
とにかくこのジャケットのセンスがなんとも・・・内容は想像していたよりも◎!!
★★★☆☆
2003年リリース。まずハードロックのジャケットらしくないのが、とにかく凄い(笑)・・・正直、これで敬遠してしまう方もいたんじゃないかなあ。スティーヴモーズが加入してのスタジオ盤3作目にあたり、彼のバンドへの貢献度が非常に高い事を認識させられる仕上がりになっています・・・ジャケットのイメージとは裏腹に、どっしりとした良質のハードロックが聴く事が出来ます。まあ特にこれと言った曲はないのですが、その演奏の素晴らしさはやはり別格だと思います・・・イアンギランは、歳相応かなり厳しくなってますが(年齢を考えれば凄いけど)。メンバーは、イアンギラン(Vo)・ロジャーグローヴァー(B)・イアンペイス(Dr)・スティーヴモーズ(G)そして新加入のドンエイリー(KeyというかOrg,笑)・・・私の大好きなドレッグスのスティーヴ&コラシアム2のドンが在籍しているこのバンド、果たしてディープパープルと呼んでいいのかとても複雑ですね(笑)。たまに顔を出す両者のソロの取り合いは、私的にはとても嬉しかったです・・・ドンの音はジョンロードを踏襲しているので、まだ彼のプレイはお仕事的ではありますが(笑)。日本盤は無駄なコピーコントロールCDなので、用途を考えて購入した方が良いでしょう。オリジナルメンバーがイアンペイスのみってのも、なんか不思議・・・。
パープルファンでない人間にも驚きの傑作
★★★★★
当方はパープルの熱心なファンではありませんし、ハードロックやへヴィメタルの画一化されたマナーには辟易しており、HR/HMらしからぬ反植民地主義っぽい(?)ジャケットに魅かれて本作を買ったという天邪鬼な人間です。
さほど期待もせずに聴き始めたのですが、しかし大変に興奮させられました。これは控えめにみても力作・充実作といえるし、近年のグランジ、オルタナティヴといわれる陰気で内向的なロック音楽と比べても、ヌケのよさや爽快感を感じさせるGOOD MUSICです。楽曲もバラエティに富んでいて、飽きずに1枚聴き通せます(そういうCDって意外と少ないでしょ?)。
過去のパープル伝説や60〜70年代ロック至上主義に囚われず、また「変なジャケット」などと第一印象で決めつけないで(笑)、気軽に聴いてこの傑作を自分のものにしてください。
美味
★★★★★
非常に好きです。ジャケのバナナと違って、黒い斑点がでた、甘くて栄養価の高いバナナですね。笑
モーズのギターを中心に、すごくアダルトな感じ。ギランのボーカルも、『紫の聖戦』よりずっと好きです。
heavyにまとめられていながらも綺麗なメロディの曲があったりして、聴き飽きません。
『Fireball』のような、すごくキャッチーというわけではないけどクセになる、そんなアルバムです!
素晴らしい音楽と犯罪的な音質
★★☆☆☆
この"BANANAS"と言うタイトル及びジャケのデザイン、更にJON LORDの不在は旧来の、DEEP PURPLEを様式美の権化と考えるような頭の固いBLACKMORE寄りのH.M.マニアからは端から相手にされなかったと思われる。しかし、それはそれで良い。既にその時代は遥か昔。バンドは彼等を置き去りに新たな前進を続けている。楽曲/演奏の充実ぶりは何度目かのバンドのピークを示しており、'HOUNTED'はこれまでのイメージを覆し新機軸を打ち出す新たなマスターピースと言って良いと思う。又、新加入のDONもピアノを重用しLORDの代役では無い個性を既に発揮しておりバンドにも良く馴染んでいる。リズム隊の鉄壁なドライブ感は言わずもがなだし、GILLANも良く声が出て気持ち良さそうに唄っている。STEVEのギターは正確無比だが、全ての間(ま)を埋めるがごとき相変わらずのワンパターンなフレージングは星半分減点か?よって、本来なら星4.5個くらいは付けたい作品である。
しかし、このCCCDの犯罪的に酷い音は何だろう?特にヘッドフォンで聴くと、うんざりするほど音のレンジが狭く、各楽器の分離も悪い。分厚いカーテンの向うで鳴っているようなこの音は、まるで「ダビングにダビングを重ねたカセットテープ」のよう、と言ったら30代後半以上の方なら分って貰えるのではないだろうか?イライラが募り、US又はUK盤へ買い替えを考えたがチェックした所どちらもセキュアCD!探しに探してアナログLPを手に入れた所、唖然とする程、素晴らしい音質だった。この作品本来の音を聴きたい方には絶対アナログ盤をお勧めする。そして、リスナーを信頼せず犯罪的な粗悪品を平気で売る東芝EMIには星マイナス5個!
They are living in the present time.Just keep going! :
★★★☆☆
このジャケットを見てDeep Purpleのアルバムと気付く人は恐らく皆無。バンド名が掲載に成っていなかったら、東南アジアの民族音楽集か何かだと思う事だろう。そして、何も知らないでジャケット内を見て2度ビックリ。メンバーがスッカリおじさん(+アルファ/Steve Morse除く)に成った.......という点もさることながら、Jon Lordが居ないのだ。Purple命ではなくても、新譜が出たら取り敢えず買う、といったファンは腰が抜けるだろう。替わりに入ったのが、元Rainbow~Ozzy Osbourne(等々)のDon Airey。これだけのキャリアの有るバンドへ入れる人材は余り多くは存在しないと思われ、キーボードの腕もさることながら、このおじさん達に付き合えるのは、このDon Airey位のものか.......と考えれば適任と言わざるをえない。
このバンドは、良くも悪くも既に"様式"という言葉とは無縁と成っていて、唯一それらしい音をハモンドという楽器で出していたJon Lordも去った今、果たして彼等は何処へ行くのか?........という余分な心配を他所に、Steve Morseの考え抜かれたギター、Don Aireyの呑気なピアノを中心に、これまた益々味の出たIan Gillanの歌が絡んだ摩訶不思議な領域に踏み込んだ大人のロック。即興の様でそうでなし。そうでない様で、実はジャムセッションの延長の様な、何とも"マッタリ"とした音/演奏が詰まった1枚。"継続は力なり"。これは既に良いとか悪いとかの次元を越えた音だ。