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JR福知山線事故の本質―企業の社会的責任を科学から捉える

価格: ¥1,365
カテゴリ: 単行本
ブランド: NTT出版
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真相解明が待たれる ★★★★★
本書は、JR福知山線事故の本質を脱線ではなく転覆であることを様々な視点から論じている。その姿勢に、かつてのファインマン先生を思い出す。
1986年のスペースシャトル、チャレンジャー事故について、ファインマン先生は事故の直接原因となった「Oリング」の問題を、公式の席で人びとの前に実験装置を持ち出して示したのである。この指摘が余りに厳しく核心を突いていたために、ファインマン先生の報告文は、米大統領宛の報告書本文には入れられなかった。危うく抹消されるところだったが、先生も頑強に抗議して、かろうじて付録としてつけることになったというのは有名な話である。
JR西日本ではこれと逆のことが行われていたことが、やっと明るみに出始めた。民主党政権誕生の効果が早速現れたということか。
「NASAはサポートしてもらっている市民に対して率直に、正直に、情報提供する義務がある…中略… 広報活動より真実を重んじるべきだ。自然を出し抜くことなど出来ないのだから」というファインマン先生の言葉を関係者は肝に銘じて欲しい。
著者の<科学>は、鉄道分野では【実現不可能】です ★☆☆☆☆
本書には、以下二つの”本質”的な誤謬がある。
(1)鉄道工学が経験工学ベースであることを理解していない
筆者は自動車工学を引き合いに出しているが、自動車のように鉄道車両の転覆の"理論値"を求めることなどは、原理的に不可能である(本書で筆者が用いている「国枝の式」は経験式であり、なぜその式になるのかは説明不可能)。筆者の言う「(人間が)誤りを犯しても、人事不省に陥っても、重大事故に至らないように状況を分析し俯瞰しておく」という機械優位の<科学>は、人間と機械でリスクを分散すべきだという安全工学のセオリーにも反する。
(2)福知山線事故は、(自然)科学技術で防げる事故としている
福知山線事故の直接の発生原因は、70キロ制限箇所を100キロ以上で浸入するという"暴走運転"(日垣隆氏)であり、通常の運転環境では考えられない(永瀬和彦氏)。だからこそ、事故後、JR西日本の"体質"や"日勤教育"といった、社会システム的間接要因が非難の対象になった。ゆえに、『「制限速度が時速70キロメートルだから、実際に転覆する速度はその二倍程度であろう」という「思い込み」が運転士全体の暗黙的コンセンサスとなっていた』という筆者の指摘は意味を持たない。しかも、そのような調査結果は本書の中にも外にも現存しない。

著者の鉄道分野に対する知識不足も多く伺える。
「上り線の線路を…曲線半径304メートルのカーブにしてしまったら、いったいどのような危険性が生じるのか。現場に科学者がいれば、一瞬にして直感したに違いない」と述べているが、制限速度が時速70キロである箇所は、日本中に文字通り星の数ほど存在する。「東京ではJRが支配的であるために企業努力が乏しい」という記述も、国鉄改革関連の書籍(例えば「JRはなぜ変われたか」)を読めば、明確に否定される。"科学"という説得力のある重い言葉を使って未熟な議論をする本書に対し、私は強い憤りを覚える。
痛ましい事故は100%科学的に予見できた事故だった! ★★☆☆☆
タイトルの「JR福知山線事故の本質」について書いてあるのは第2章のみ。

以下の記述が問題点を突いている。『この事故は、高見運転士だから起きたのでは決してない。転覆限界速度が時速106km以上だと「思い込んで」いた人の誰かが、同じ脅迫感をもってここを運転していても、この事故は起きた。さらに言えば、全国に多数存在する半径400m以下のカーブにおいて、直前の直線が長い線路構造の場所では、スピードリミッタ機能付ATSが設置されない限り、今後まったく同じ事故が起きうる』

あとがきによると、著者の事情から、別の本のひとつの章として執筆を始めたが、社会的影響の大きさなどを考慮し、独立させて出版したらしい。そのためだろうと思われるが、一冊の本としてのまとまりは非常に悪い。
上に挙げた「今も危険な列車が走っている」という問題意識に従えば、「だいたい企業というものは〜」から始まる提言は、対策のレベルを大きく異にしている。
少なくとも、タイトル(事故の本質)から期待できるように、「JR福知山線事故」のことに絞って、事故調査委員会の問題や、他社との比較など、焦点を絞り込んでまとめて欲しかった。
話題になった大きな事故の原因に科学的な検証を加えるという試みは素晴らしいと思うが、同じジャンルで書かれた本として西村肇氏の『水俣病の科学』の卓越した内容から比較すると、ちょっとお粗末でした。
忘れてはいけないこと ★★★★★
事故から3年たった今でもまだ明確にされていないこと、被害者の手記を通して伝わる苦しみ、怒り、そして憤りを感じざるを得ない本。一見堅そうにみえる題名だが、被害者の手記は宮崎さん自身の言葉で書いてあり、読み入ってしまう一冊。

JR西日本が本来行うべきCSRとは何なのか?
責任の所在は?
怪我が治ればそれでいいのか?

手にとって読んでみて欲しい。
天才の渾身の一冊 ★★★★★
高温超電導の世界的権威、経団連21世紀政策研究所研究主幹を経た天才が、福知山線の事故の本質を科学的に解明する告発の書。大規模事故の被害者の苦痛は、決して語られることのない闇に葬られてしまうが、宮崎さんの手記が、事故の核心を克明に描き出す。画期的という言葉が陳腐に感じられる珠玉の書。国土交通省事故調査委員会が如何にご都合主義で、科学を無視し、既存権力におもねる存在であるかを浮き立たせている。警察・司法当局の起訴の先駈けとなる警告の書でもある。サイエンスと事故・エラーに興味のある方は、必読の書でしょう。