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水晶 他三篇―石さまざま (岩波文庫)

価格: ¥819
カテゴリ: 文庫
ブランド: 岩波書店
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変わらぬもの ★★★★★
シュティフターはトーマス・マンやヘッセ、ニーチェといったドイツ文学界の錚々たる面々に賞賛されながらも一般的にはかなりマイナーなオーストリアの作家です。 その理由を簡単にのべれば、波乱万丈のストーリーを書かなかったから、の一言につきるでしょう。 しかし、書けなかったーと、いうわけではありません。 ここに収められている四編の作品を読めば、彼が何に価値を見出していたのかは、自ずと分かるはずです。 いずれの作品においても、我々の生活を脅かす、戦争や天変地異というものに主人公たちは巻き込まれています。 しかし、彼が本当に描きたかったのは、そういった不条理の中にあっても、決して変わらぬ名もなき人々の営みの偉大さーなのだと思います。 このことは、収録されている、この短編集の序文を読めば一目瞭然です。  描いている対象は少々違いますが、日本の芸術家の中で彼に似ている人に小津安二郎監督がいると思います。 彼らの作品は、そう何度も夢中になって見るというわけではないが、5年、10年に一度はたまらない郷愁をともなって見直してしまうーという点でも、どこか共通点があると思います。 

四篇の中で白眉といえばやはり“水晶”なのですが、もう一つ、忘れがたい名作として“石灰石”があります。 他の作品では、主人公たちはいずれも本人の気付かぬままに、偉大な自然の法則によって“生かされている”という印象が強いのですが、“石灰石”では、人間のささやかな意志が、やがて子供たちを救うことにつながっていくーという、信念のようなものが描かれています。 そしてその“意思”の偉大さは、決して多くの人に知られることにはならなかったけども、心ある人々の心に確かに刻み込まれているーという結末になっています。 
“いま、この寂しい岩地を立ち去るとき、わたしの頬には涙が流れたー”に始まるラストの数行はまれに見る感銘を私たちに与えてくれる名文だと思います。 もっともっと多くの人に読んでもらいたい作品集です。
慎ましく綺麗 ★★★★☆
四つの短編は、どれも、精緻な自然描写と、素朴でつつましやかな人間描写が魅力的なお話です。舞台が自然に囲まれた田舎の簡素で長閑な場所というのが素敵。
人間生活におけるうつくしいことや、けなげなことを、ささやかに語るこれらの作品は、そのしずかさゆえに、読む者の心にしんみりと染み入る内容であります。
今どきのバトルものやキャラクターものに慣れた人だと数ページで放り出してしまうでしょう。
個人的には、話の中にキリスト教の価値観が自然と盛り込まれ、また、必ず純朴な子供が配置されているところが好きです。表題作の「水晶」が一番お気に入り。
えぇ話や ★★★★☆
シュティフターの温かみがにじみでている昔話風の短編集です。それぞれの題名には石の名前が使われていますが、実際にはあまり内容と関係ありません。各小説の舞台や設定は全然違いますが、どれも善良な普通の人たちの日常的な(現代から見ると、日常的でない部分もありますが)心温まる物語です。もちろん、シュティフターらしい自然描写もあふれています。シュティフターの信念がこもった序文も最後に収録されています。
長く記憶に残る名作 ★★★★★
掌編ながら一度読んだ忘れられない名作。
手塚富雄先生の訳が良かった。

昔、松籟社という出版社からシュティフターの作品集が何巻か出ていたがどうなっただろうか。