レジヒルが変わった
★★★★☆
読者は本書がいままでのレジヒルの衒学趣味と英文学偏愛の延長線上にみえて、そうではないことに気づくと思う。謎解きと連続殺人犯が主題になるクライム・ノベルの側にせり出してきた感じだし、それだけアメリカや日本の読者を意識している。その分ダルジール・ファミリーのヨークシャー臭が薄まったのは残念。しかし原書が読めようが読めまいが、同時に発売されているDeath's Jest-Bookまで一気に読みすすみたくなるのは確か。これは名作『骨と沈黙』を乗り越えるための助走のはじまりなのかもしれない。