ポップス
★★★★★
シェール、はなぜシェールで通るのか。
それはポップス界のベテランだからです。すでに歌手として引き受けてきた役割がありました。
個性が、別の個性を演じたらどうなるか、という試みでもあったと思います。
それにしても、この作品の中での兄と弟との関係は、うまいずらし方をしています。設定の手柄です。
空き缶を「ポーン」と蹴るシーンは「諦観」を切り取った様
★★★★★
ニューヨーク・ブルックリンのイタリア系社会を舞台に、30台半ばと思われる未亡人シェールの恋模様を中心として、様々な人生模様を描いたロマンティック・コメディ。シェールの立場は実はかなり厳しいのだが、彼女を取り巻くラテン系の人々が持つ人生を謳歌する姿勢と、俳優陣の巧みな演技でハート・ウォーミングな出来に仕上がっている。
シェールは気が進まぬままに、厳格な母の圧力と自身の年齢を考え、自身にプロポーズするD.アイエロの申し出を受け入れる事にする。D.アイエロは冒頭から過剰な演技で笑わせてくれる。ところが、彼はシシリアに居る母の危篤の知らせを受け帰国する。既に、ゴッド・マザーが二人出ている。シェールは婚約者が不在の間、彼の弟に挨拶に行くのだが、その弟はN.ケイジだった...と言う設定で二人は許されない恋に落ちてしまうと言う展開。この間、シェールの隣人の老夫婦が「満月の夜には何が起こっても不思議ではない」と妖しく微笑む辺り、本作が生と死、若さと老い、生と性、人生はハプニング、日本風義理と人情をテーマにしている事が分かるが、押し付けがましい所が無い点が良い。シェールとN.ケイジは唯一度のデートのため、精一杯の"おめかし"をして出かける。互いに相手が正装をしているのを確認して感激するシーンも良いが、デートの明朝、未だ暗い中、シェールが歩道で空き缶を「ポーン」と蹴るシーンは「諦観」を切り取った様で、本作で一番印象に残った。そして、結末は...。
笑いあり、人生の厳しさあり、洒落た会話あり、老いを意識させる場面あり、華やかなデート・シーンあり、そして何より全編を貫く生きて行く上での前向きな姿勢が素敵な、ロマンティック・コメディの傑作。
とにかく観てて楽しい!とってもイタリア〜ン、なラブコメディ。
★★★★☆
題名を見て、90年代にトム・ハンクス、ヒュー・グラント、ジュリア・ロバーツ、メグ・ライアン
あたりのキャスティングで盛んに作られたラブ・ストーリーのようなモノを想像し、新鮮さはあまり
期待していなかったのですが、迂闊でした。
NYを舞台にしたラブ・ストーリー、というかラブ・コメディなのですが、
酒と料理とオペラと恋愛さえあれば人生は楽しい。
みんなどこかマヌケで、底抜けにノー天気。
そんなイタリアンテイスト全開の映画です。
とにかく何かと言ってはよく酒を飲み、よく食べる。それがまたいかにもおいしそう。
また、劇場のシーン以外でも、家ではしょっちゅうオペラのレコードがかかっている。
そして、浮気は主演の二人だけと思いきや、シェール扮するロレッタの両親まで・・・。
いい年してまあお元気だこと。
ジローラモさんも顔負けのクサーイ口説き文句や、まるでそうは見えない深刻な表情に至っては、
どこぞのお笑い芸人の「すべらない話」なんかクソ喰らえ、ってくらい笑えます。
ロレッタの祖父とその飼い犬たちも、かなりいい味出してます。
ちょっと気分が落ち込んだ時に観てください。よく効きますよ!
満月がミラクルを引き寄せた。ロマンスに酔い、オペラの音楽に舞うシェールがなんと美しい。!
★★★★★
ロマンス・愛・死・男・女・罪 人間の永遠のテーマを美しく描く。
アラフォーのバッドラックな女性が、あるとき美しく輝いてロマンスに酔いしれて幸福な愛に出会う瞬間。
マンハッタンのオペラ劇場を背景にオペラの調べで美しく舞うシェールの輝きは、ロマンスが何であるかを思い出させてくれる。
カフェ、ベーカリー、摩天楼、ハドソン川、シャンパン、ア・モーレ!満月の光の下、ニューヨークの街角が美しく描かれている。
恋に落ちたその瞬間、自分たちは完璧じゃない。人間は間違いを犯すんだ。あまりにも美しい満月に誘惑されるようにロマンスに誘惑される男と女たちの姿がオペラの音楽を背景に美しく描かれている。
ファミリーの食卓を囲んで、最後は痛快にハッピーエンド。満月がミラクルを引き起こした。大人になってから見るとよく理解できるよ。
満月の夜は、ムラッと何かが起こるのだ、イタリアンは。
★★★★★
とにかく、出演者も音楽もとってもイタリアーンな映画。人生は愛と食欲と音楽、それだけあれば後はなーんにもいらない。というキッパリしたイタリア気質まる出し。
ビックリ顔のシェールも、まだ髪の毛フサフサのN・ケイジも良いけど、マフィア役なんかやらせると怖い顔するダニー・アイエロが、とってもお人好しなイタリアンを好演していて必見。
愛と人生に愁いを感じたらこの映画が、人生には、愛と食欲と音楽だけあればイイんだよと、片道一車線抜け道無し!の道筋を、明快に示してくれます。