シェール本人が（たぶん冗談抜きで）言うところの“悪いファッキンな歌姫の、ファッキンな40年間”が終わった。この2002年のツアーが本当にシェールの見納めになるとすれば、彼女は文句なしに思い出に残る最後を飾ったことになる。この92分間のコンサート（それに多数の特典もプラス）の中で、シェールは何種類もの衣装やウィッグを身に付ける。全部集めれば、小さな町ひとつ分の人数に着せられそうだ（何だか奇妙な町になりそうだけれど）。さらに、ダンサーやアクロバット・チームが彼女を囲む。シェールは、自分が出演した往年のテレビ・シリーズを見せてくれるほか、特典のひとつとして収録されている寸劇版『ウエスト・サイド物語』では、すべての役を演じている。そして、もちろんシェールは歌も歌う。ソニー & シェール時代からソロ初期のナンバー、それに彼女をディスコ・ディーヴァとして蘇らせた「Believe」など、出し惜しみ一切なし。さて、結論だ。本作『The Farewell Tour』は豪快なショーで、時おり見られるおバカっぽさ、片時も途切れることのないエンターテインメント精神が魅力だ。シェール自身が言っているように、ブリトニー・スピアーズやジェニファー・ロペスが彼女の域に達するのは難しいだろう。（Sam Graham, Amazon.com）