本書は、作品紹介の文にもある通り日蓮の「半生」を描いた小説です。「全生涯」ではないので注意してください。日蓮大聖人の幼少期から物語は始まり、修行と模索、悟脱の時代を経て、諸宗乱立の末法に一人立って日蓮宗を立宗し、慈愛からの激しい主張のゆえに他宗の信者に仇まれ、住居を構えていた小松原で法難に遭うところまでで終わっています。逝去まで、全生涯を書かれたものを読みたかったので少し残念でしたが（生涯全体から見ればこれからが本番といってもよいだけに）、大聖人の生きた鎌倉時代の雰囲気が分かって良かったです。