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新編 みなかみ紀行 (岩波文庫)

価格: ¥630
カテゴリ: 文庫
ブランド: 岩波書店
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五感を呼びさます ★★★★★
ふっとどこかに出かけると、行く先々で見かける若山牧水の歌碑。
こうそこかしこに置かれると、いい加減食傷気味で興醒めの感すらある。
いや、何も牧水が歌碑を立ててくれと頼んだわけじゃないことは、わかっている。
わかっているけど、でもしかし。
そんなこんなで、牧水は敬遠していた。

でも、ひょんなことからこの本を手に取ってみました。
読んでみたら・・・

面白い。

紀行文学は、ともすればその場所の地誌を淡々と綴ることに終始してしまい、
読み終わってみたら案外何にも頭に入ってない、ということもよくある。
でも、この本は牧水の触れた風景が、そのまま自分の肌に伝わってくるかのようだ。
雨上がりの湿気を含んだ風のにおい、空の底を切り取る山の端の色、
ひんやりと頬を濡らす滝のしぶき・・・
まざまざと五感を呼び覚まされるように感じる。
一生懸命頭に入れよう、入れようとしなくても、まるで自分が牧水と一緒に
その地を歩いたように、その風景が脳裏に刻まれてゆく。
その感性、そしてそれを描ききる筆力に舌を巻いた。

忘れられない一冊になってしまった。
忘れかけている記憶を辿って... ★★★★☆
ひと月前に出た、藤村の「千曲川のスケッチ」を読んだときにも思ったことですが、私たちはなんと多くのことを忘れてしまったのだろう、と思います。
時代が進むということは、多くの貴重なものを振り落としてしまうことではないか、と思わされます。
ただのノスタルジーなのでしょうか? 私にはそうは思えません。何かをもういちど思い出すために辿りなおす道が、ここにあるのだと思います。