役所広司が監督としてその内面を披露した、 いわば自己紹介のような映画
★★★★★
役所広司の監督初作品。
いくつかのことに気づく。
役者として黒沢清監督作品に数多く出演している役所広司だが、
初監督作品のテーマとして、「死」および「死者」を選んだ。
役所広司の内的世界の傾向なのだろうと思う。
本人が語っていたが、
ガマの油売りに仏壇の上を掃除しろと言われ、
箪笥の引き出しを階段にして掃除をしたエピソードは、
役所広司が幼少期に体験した実話だそうだ。
思うに、
この映画の原案は息子を亡くした夫婦と、
息子の友人や恋人の交流を描いたものだったのだろう。
それに監督役所広司が、
自らが撮りたかったテーマ(死)、
それに不可分な実体験(がまの油売り等)を加えたため、
分かりづらい作品になったのだと思う。
ただ役所広司は観客に映画の背景を考えさせたいと構想していたとのことで、
そういう点では成功していると思う。
個人的は、
思った以上にテンポがよく、
笑いの演出も冴えていて、
役所広司の監督としての才能に驚いた。
またロードムービーになっていて、
特に後半、押さえた演出と旅情が混じりあって、
満足度は高い。
横須賀の風景がきれいだ。
役所広司が監督としてその内面を披露した、
いわば自己紹介のような映画だと思う。
こんなにいいとは
★★★★★
監督としての役所浩司、最初は正直どうなんだろう? と不安だったが、怖ろしく濃縮度の高い良作だった。役者として数々の映画での百戦錬磨の経験が活かされた役所ならではの映画だった。まず感じるのが映画のテーマは重く、全体のトーンは明るい。これを観ていて重いテーマとして「ユリイカ」のときの役所を思い出したし、やりすぎとも言えるユーモアの部分は「赤い橋の下のぬるい水」を思い出した。これら以外でもさまざまな映画の持つエッセンスをうまく掬い取りながら、あくまで最終的に言いたいのは「未来への希望」だ。閉塞感が充満する今の日本に、本当に大事なことは、個人個人の希望であり、人に対する無償の優しさであるんだということを説教がましくなく、この映画は伝えてくれている。
オリジナルラヴの田島貴男の歌(鍵、イリュージョン)に「どんなマジックの種が破られても、予感の炎が消えてしまっても、ありもしないものを見ずにはいられない力を」という一節があるが、それこそがガマの油なのだ。
タイトルになってるけど
★★☆☆☆
『ガマの油』の部分無い方が良い感じに仕上がったんじゃね?
前を向きたい時力をくれるかも
★★★☆☆
不思議な感覚の作品です。
役所広司さんは、やっぱり素晴らしい俳優ですね!!シリアスも情けない役もコメディもなんでもこなしてしまう。
携帯の声でいくらなんでもわかるでしょって突っ込みたいけど、不思議に最後は気にならなくなりました。
コメディ調が主ですが息子を亡くした役所さんの痛みが、むしろ笑ってるときに伝わってきました。陰で泣いていたので…
ガマの油っていうタイトルがもっとはっきりテーマ性があればなぁと感じました。かなり薄い気がします。
何度も見たいわけじゃないけど、落ち込んで前を向きたいときにいいかもしれません。
イマイチ
★★★☆☆
役所さんの大ファンです。映画の雰囲気はなかなか好きですが、 肝心のがまの油のくだりが浮いていて、いらないと感じてしまいました。つまらない上に方向性が理解できませんでした。 役所監督次回作に期待しようと思います。