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小説 日本興業銀行(4) (講談社文庫)

価格: ¥560
カテゴリ: 文庫
ブランド: 講談社
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今では想像できない世界がそこにあった。 ★★★★☆
本書は戦後復興期の興銀頭取だった中山素平の偉人伝である。本書は自分が証券マンになりたての頃、単行本になって直ぐ読んだ。あまりも感動して、それは、それはむさぼるように読んだ。完全に乗せられた。当然五つ星評価だった。ただでさえ自信過剰の興銀職員のプライドを本書はさぞかしくすぐったものだろう。

ところがその後の現実の展開は全く違った。中山素平は百歳近くになってもリストラが急務だった興銀の顧問を辞めずに、自分の名声を使って自分が理事長を勤める大学への寄付金集めに不況であえぐ大企業を回って迷惑がられる老害の象徴なような存在になった。著者は国士きどりで、ただ外資憎しの感情論で物を言ったり書いたりするデマゴーグ(やはり老害か?)に変身し、興銀自体は不祥事を起こして試行錯誤を続け、その役目を終えて都銀二行と合併した。その意味で今、本書を読むとしらける。星三つ。今ではその他よくある企業のヨイショ本のさきがけだったのかと思える。従って星五つと三つの間の星四つとする。