著者らが指摘するとおり、各分析法とその解析に関する専門書はあれど、実際に実験する人が高分子を入手した際に「高分子の構造と物性と、それに対する最適の分析法とを的確にリンクさせガイドしてくれる本」は、これまで出版されておりませんでした。実験担当者が手元において勉強と辞書代わりに使用するのに最適と感じました。高分子化学者でも本書内のすべての分析法を実際に実施したことはまずいないでしょう。
内容は各分析法を、簡単なものから高度な手法までをできる限り幅広く紹介する内容となっております。詳細な解析は記述しておりませんので、必要になったら専門書を読めばよろしいでしょう。
内容は簡潔で読みやすいのですが、なかなか難しく読み応えはあると感じました。著者らは学部４年生〜修士１年生あたりから読者対象としておりましたが、複数の研究に従事する経験をしてはじめて十分に俯瞰できる内容かなと思いました。