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歴史人口学で見た日本 (文春新書)

価格: ¥714
カテゴリ: 新書
ブランド: 文藝春秋
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期待して読んだが、研究途中の話。 ★★★☆☆
 統計、データを重視し、宗門改帳を用いてほぼ仮説に近い論を展開する。データで読み解くところは良いが、結果的によくわからないというのが結論であり、今後の研究に費用がかかるなどの話につながっている。結果的に試みは面白いかもしれないが、内容としては目新しいものはなく、問題解決のアプローチを示したことで終わっている感がある。
おもしろい ★★★★★
ルイ・アンリが確立した歴史人口学をいち早く日本に持ち込んだ速水教授の自伝的
歴史人口学入門書。
ルイ・アンリが「教区簿冊」(教会に備え付けてある帳簿)を用いたところを、
速水教授は、日本には「宗門改帳」があるので、同様の分析が行えるはずだと
気付き、日本における歴史人口学研究を始めた。

「宗門改帳」などというミクロの資料も上手く集めて、上手く集計し、分析できれば、
そこから全体が見えてくる。
たとえば、都市は農村から人を集めて皆殺しにするブラック・ホールだったといった
知見が得られたそうだ。
研究の方法論も研究の結果も面白い。
さすが文化勲章を受章しただけのことはあると思わされ、さらにそれだけの
業績をこれだけわかりやすく書いてくれた教授に感謝したくもなる。

歴史に興味がある人は、読んでおくべき本だろう。
地道な研究だが面白い ★★★★☆
歴史人口学という学問がどのようなもので、どのように研究が進められてきたか、著者自身の研究史とともに語られています。
どのような調査手法を用いたのかから説明されているため、著者が江戸時代の暮らしを浮かび上がらせた研究を追体験できます。また、江戸時代に家族構成に大きな変化があったこと、日本の中でも大きな地域性の違いがあったこと、地主・自作農・小作人の格差などが具体的に見えてきます。
ただ、個人の研究史を語った部分については、文化勲章を受章するような大家である分、うまくいきすぎて面白みには欠けます。
地味だが魅力的な驚きの学問、歴史人口学。 ★★★★★
速水融教授は塾出身の日本経済史学者で、歴史人口学を日本に導入した第一人者であり、塾の後輩の鬼頭宏教授を育てた方だ。まず第1章の塾の留学制度でポルトガルからベルギーに行かれた話が面白い。歴史人口学は欧州のキリスト教教会に備置される「教区簿冊」(Parish Register)にある、人の洗礼、結婚、葬儀埋葬の個人全記録から出発する。ヘンリー8世の1538年修道院解散令の勅令で作成された。一方で日本の研究資料は「宗門改帳(しゅうもんあらためちょう)」だ。寛永15(1639)年以降、世帯単位で出来事の動態人口と状態の静態人口の両方がわかるものだ。最後の第五次鎖国令が1639年だが、宗門改帳はキリスト教徒でないことを寺に証明させた一種の異端尋問だ。欠点は書式・方式が未統一であり、藩によって記載基準が違う。よって日本の人口の推定は当然難しい。過去数回に渡り凶作・飢饉・疫病等で人口危機があったことがわかる。享保17(1732)年からは西日本で中国からのウンカ大発生、宝暦5(1755)年からと天明3(1783)年からは東日本が寒波で冷夏、特に天明3年は浅間山大噴火があり、天保8(1837)年からは関東を除く各地で飢饉(疫病の模様)だ。この資料からは日本の農民の勤勉革命(英国の産業革命に対比した著者の造語)が読み取れ、一所懸命働いて増やした生産量が農民に還元されるということが、その後の日本人の勤勉さの根底になっていると言う。印象的な部分であった。 こうして歴史人口学は魅力的な学問だが、1世帯毎の記録分析であり入力作業にまず時間と金がかかる。研究費の確保が問題だ。何せ分業・協業の学問で多くの研究協力者への謝礼が研究費の最大を占める。それに宗門改帳の収集も福島、長野、岐阜、大阪、岡山では進んだが、東北、日本海側諸県、四国、九州がまだ不十分だ。読者は一斉に蔵の中を一度見て欲しい。
著者自身の研究史 ★★★★☆
 「宗門改帳」という江戸期の資料をもとに、世帯別の人口を生態的、動態的に分析することで、経済や社会の動向を憶測するという興味深い研究に関する本。個々の人間のミクロのデータから、社会と歴史のマクロの動きを跡づける。この、歴史人口学という学問を紹介するとともに、著者自身の研究史を紹介するものにもなっている。
 著者の研究によれば、17世紀の日本では大きな生産性革命が生じ、それは、「合同家族世帯」が「直系家族」や「核家族」へと変わることによって、農業の生産が飛躍的に伸びたことによるとしている。また、人口一人あたりの家畜の数が縮小し、人力による作業が増加するが、それによって生産性はむしろ向上しており、通常の経済の発展(資本集約・労働節約による生産性の向上)とは異なる動きがみられるとのこと。他にも、都市部での死亡率は農村よりも高かったことなど、一般の歴史では明らかにされることのない事実の指摘が目を引く。