難しいテーマ扱った良作
★★★★☆
前作『破滅の箱』に続く、箱セットの後編にして完結編です。
「破滅」のキイパーソンだった黒崎は死によって物語の後ろ側へと下がり、三樹子とキアラのヒロイン二人が物語をぐいぐい引っ張るようになります。
「再生」で描かれるのは、娯楽作として扱うには余りにも重いテーマ。
正義とはなにか? 悪とはなにか? 悪を罰することは、果たして正義なのか? 法と正義とはイコールか?
難しいテーマを扱ったために、「再生」は「破滅」よりもテンポも遅く、やや重い展開になっています。
しかし、登場人物のぶっとんだキャラクターのおかげで、このテーマにしては娯楽性を保持したままで、物語は展開します。ぎりぎり娯楽として成立しているのです。
とうていハッピーエンドとは言えない結末でありながら、カタルシスのある、意外なまでにさわやかな作品にしあがった意欲作です。