近代イギリス、庶民は何を読んでいたか
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当時、本は大変高価で、庶民には高嶺の花でした。そこで考案されたのが「チャップブック」。元の本のおいしいところをかなりいいかげんに編集した、ペラペラのダイジェスト版でした。当時の食事一食分位で買えたそうです。
チャップマンという行商人(テキヤのお兄さんみたいな→寅さん?)がさまざまな日用品とともに売り歩きました。その内容は、宗教書、実用書、旅行記に占い本、笑話集に犯罪実録集、名作ダイジェストなど多趣多様。ヘンなタイトルを見ただけでも想像がふくらみます。
本書はそれらの本を、豊富な資料から取り上げ、たくさんの図版(モノクロ)とともに紹介しています。また、当時の出版や流通、無名の作者、胡散臭いチャップマンの実態なども興味深いです。
「本の受容を通して、当時の庶民の暮らしぶりを生き生きと描き出す」薄さの割には盛りだくな一冊です。