同和教育と人権教育への入門書として最適。
★★★★☆
本書は同和教育理論・実践を踏まえ、そこでの知見を人権教育にいかそうとするものである。同和問題をはじめ現実の差別と自分との関わりをどのように感知させ認識させるか、このような問題意識が本書を貫いている。
全体を通して、同和教育の歴史とそこから得られた理論的成果および課題が述べられていると同時に、近年国際的に広まっている最先端の人権教育理論が盛り込まれている。つまり、本書の最大の魅力は、同和教育論を包括的に眺めることができるだけでなく、それと国際的な人権教育についての論議とのつながりを見ることができるところである。
多少まとまっていない気もするが、よく言えばかなり多岐にわたることを盛り込んでいるという点で包括的であり、人権教育の入門書として最適と思われる。近年の人権教育を考える際に本書は欠かせないだろう。