無駄の中に宝がある　　　　勝新太郎


某店で視聴して一発で気に入り、家に帰ってから初めて新録音ものだと気がついた。
だってジャケからして、よく出来たディープ・ファンクの再発コンピにしか見えないだもん。
マヌケな私のように音だけ聴かされたら再発にしか聴こえないくらい、この詐欺はよく手が込んでいる。

ではどのくらいよく手が込んでいるのか。以下、その詐欺の手口はライナーより。
ライブラリーものを参考にしてアルバム製作、プロモーションはまずダンスフロアーＤＪ方面から攻めていった。このアルバムからは、3曲入りシングル盤を300枚プレスして、瞬く間にコレクターの手によるコピー盤がその後出回った。実際欧州での評判も良いらしく、the players theme のシングル盤はイーベイで250ポンド（5万円相当）の値がついたらしい。
恐るべし、the sound stylistics！


snowboyやjames taylorなどかつてのアシッド・ジャズメンバーを総動員したこのアルバムは、我が家でもヘビーローテーション。だってJBはおろか、何万円もする極上マイナーファンクの数々が、この値段で聴けるのだから・・・。

ペテンがやがてオリジナルを超える。
音楽とは、つまり歴史とは模倣の繰り返しだ。

「どうせオリジナル・シングル盤は高くて買えないから、自分たちで作ってみました」
このパンク的発想は、ひょっとするとこのジャンルの新しいビジネスモデルかも知れない・・・。

純粋に音を聞いてだけの評価になるが、、、とにかくこれぞ王道！というfunk numberが聞ける。しかも、最近の作品なのか綺麗でバランスの取れた音源（良いものはだいたい古い音源でしょ）。
おそらく食いつきを良くするために作られた「JBか？」と思わせる一曲目が終わった後は、一転して余計なvocalを排除した非常にtensionの高いハードなfunkが連発される。際立って新しいアレンジはないかもしれないが、叩きまくって主張するDr.を中心にuptempoな派手なfunkを繰り広げる。horn隊のmelody line, 適度にoutするKey solo phrase、と玄人向けな面と、medium tempoはやや苦手という人が多いリスナー専門日本人にとってもこれは正に駄曲のないスリリングなものとなるだろう。
Gt.Key.の和音は聞いていて王道で参考になり、バンドアレンジにも役立つだろう。