日本人は単一民族であり、他の社会システムと交流する機会が殆どないため、カルチャーショックが激しい。それは、日本人の中にある、進んでいる/遅れているという先入観、日本文化に対する「真の自信」のなさ、などに起因している。そして、過度の日本文化への逃避や現地社会への逃避を起こしてしまう。そこには、異なった文化/社会システムを「ただ違っているだけである」と認め、「尊重すべきものである」という基本的な態度が無いためである。
昔から日本人が外国に出かけていくケースは多くあったが、「必要なものを持って帰るだけ」、「現地のシステムを受け入れず、日本的システムを押し付けて反発を受ける」という、真の国際交流とは程遠い状況がくり返されている。そこには、日本社会における「縦の原理」による人間関係(その中での順序:通常は年功序列、が重要な縦社会)と「連続の思考」によるウチとソトの関係(物事をはっきりさせないウチとソトに対する無関心)が作用している。
本書は30年以上前の1972年に初版が発行されたが、現在の国際交流における日本人の反応、は変わらないようである。これは、日本社会の中においても、「論理よりも感情が優先する状況」、「違いを認めず自分が正しいという価値観」、が幅を利かしていることを考えると、著者の考察は日本社会の本質を捉えたものだと思う。
■やれやれ。