日本は法規制よりも社会的な規制により秩序が保たれている社会である。これは、日本の社会構造が均質な連続体で構成されているためであり、異質な集団を受け入れ、内部に抱えている均質でない社会構造(例えば多民族国家)においては、普遍的で明確なルールが必要であることとは、基本的に異なっている。言い換えると、一本筋の通った原則を持たない社会である。
著者は本書の最後で、このような原則を持たない日本が国際社会にどのように貢献できるのか、という課題を提示している。これに対しては、日本が目指す方向に対する、明確なビジョンの策定とロードマップ(工程図)の策定が多くの分野で求められ、試みられているように思う。
この本の初版は1978年であり25年以上前の本であるが、今日の社会においても大いに当てはまる内容である。しかしながら、今日の日本はグローバル化の流れの中で、単一社会を維持したまま変わりつつあるのではないか、と考えさせられた本である。