イブニング版にしては傑作!
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掲載雑誌を月間のアフタヌーンから週間のイブニング移してからは
正直不作といわざるを得ない国内編だがこの巻だけは別です
ヤクザ、公安、北朝鮮など複雑な利害関係を持つ事件に巻き込まれながらも
交渉力、行動力を用いて目的に近づいていく勇午がしっかりと描かれており
それでいて分かりやすい内容には非常に高い完成度を感じました。
イブニング版の勇午では間違いなく一番面白い作品でしょう!
日本版の最高作
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現在のところ、3作まで出ている日本版は、1巻で完結なので、これまでの海外版よりやや弱い感じも受けますが、日本版の中では、この第1作が最高だと思います。
帯に「北朝鮮・公安・ヤクザvs.勇午」とあるように、ヤクザや警察との駆け引き、北朝鮮の対日工作とそのカウンター・パートのバランス、公安のえげつないほどの非情さなどが描かれており、緊張感が漂います。勇午が、中国編などのえげつない拷問に合わされない分(?)、サポート・メンバーの小暮君と後輩の知里がひどい目に合っちゃいます。
上條警視正、大牧警部は、若そうだからキャリア組なんでしょうが、今作品では決定的な読み間違いをして勇午に出し抜かれてしまいますし、第3部でも大きなチョンボをしてしまいます。ものすごいヤッパ傷があるのに、なんとも間抜けです。今後も日本編のレギュラーになるんでしょうか。
一番好きなのは、ユン・チョンミルに「君はどうしてこんな仕事をするようになった?」と問われ、勇午が答えるセリフ。「交渉は戦いです。ですが、最後は、和解で終わります」ー全ての仕事に通じるのではないでしょうか。私は、仕事で調整がうまくいかず、感情的になりそうになったときには、この言葉を想い出すようにしています。
勇午シリーズの最高傑作!!
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北朝鮮の工作員の台詞で「今、この国は拉致問題で怒っている。たった何人かの人間でこうだ。ならば、我が国の国民の怒りが、いかに深いものかわからないか?」
いつも思うのだが勇午シリーズの根底にあるのは、悪の不在あるいは正義の不在だ。
それぞれに複雑に絡み合った利害としがらみの中で、勇午はそれでも可能な限りの妥協点を目指す。
しかし、その根底にあるのは人間愛で、その為に勇午は行動する。
だからブレがない。他の登場人物は、組織なり目的の為に行動するが、勇午はただ、契約において以外、おのれの信念にもとづいて自由である。
それが唯一の、彼のもつカードであり、身を削りながらカードを切り続ける。
勇午の舞台、日本へ!
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世界で活躍する交渉人、勇午。
そのパートナーであり、最高のバックアップ要員である小暮がトラブルに巻き込まれた。
友人を救うために、あらん限りの能力、人脈を用いる勇午は時にヤクザ、また公安との間を針の穴を通すようなギリギリの綱渡りで切り抜ける。
緊迫の展開は読者にイッキ読みを強いつつ、静かに『物語の鍵』、38度線という名前の歴史に引き裂かれた母子の悲しい過去へといざなって行く。
本編同様、勇午の行動の裏には常に強い人間愛、また人間愛の強さを信じる心が横たわっていることに共感を覚えずには居られない一作だと強くお薦めする。
緊迫知能戦!
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個人的には今までで一番お気に入りのエピソードになった。
主人公・勇午の友人、小暮は好きなキャラなので、活躍してくれて嬉しいところ(その分普段の勇午並みに酷い目に合っているが…)。
ストーリーがやや短い分テンポが良く、緊迫した知能戦を映画気分で一気に読みきってしまう。
限られた時間と四面楚歌の状況下、あくまで冷静に事件を追う勇午がみもの。