インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

花と火の帝(上) (講談社文庫)

価格: ¥680
カテゴリ: 文庫
ブランド: 講談社
Amazon.co.jpで確認
徳川期の天皇への意欲的なアプローチ ★★★★★
長い時間がかかったが隆 慶一郎の絶筆となった「花と火の帝」を読了した。それこそ、20ページ読んでは栞を移し、栞の5ページ前辺りから読み継ぐような越年読みだった。

「ペルシャ人のテントが僅かに開いたように見えた。顔は何も見えない。動きもない。だが明かになのかの気の流れるのを岩介は感ずるともなく感じた。しかもテントの中の生き物も素早くその感じを、掴んだようだ。」
後水尾院の弟、近衛信尋の略殺を狙う徳川とその警護にあたる『天皇の隠密(八瀬の童子)』との息も詰まる戦闘シーンは壮絶を極め、場面は賀茂川原の見せ物小屋に移り、しばしの静寂の中、上記の事切れをする。

コーダに向う幾重のうねりが整理され、原初のテーマがどこからともなく鳴り出したか…と思う途端の事切れ。
ジョバンニとカンパネルラの不意の別れのように。

徳川期は賤民や被差別民が構造的に生まれてきた。農業定住民国家を基礎とした幕藩体制の強化は天皇を支えてきた非農業民(芸能民、職人、山伏、宗教者…)の生活を追い込み、同時に社会的賤視の風が徹底され、支配の道具にされた。そうした中、天皇さえもその自由を獲得するためには徳川の強大な権力と闘い続ける必要があったのだ。
後水尾天皇を通して、この物語は網野善彦が解明した「日本中世の非農業民と天皇」を翻案したものだ。

改めて隆 慶一郎と網野善彦の冥福を祈りたい。2人は暖かな春の陽射しの賀茂川原縁で愉快な話を今日もしているのだろう。
天皇の隠密 岩介 ★★★★★
 花と火の帝は、一番感動した小説です。慟哭させられた場面があって、ひとつひとつ書きたい思いもあります。

 若き後水尾天皇と岩介とのやりとりがあります。

「帝はお幾つでんねん。まだまだこれからやおまへんか。相手は棺桶に片足つっこんどるおいぼれや。焦ってまんねん。帝はのんびり待ってはったら宜し」
 老いて焦っているからこそ、今の大御所家康は危険なのである。岩介はそのことを強く感じていた。だが天皇にそれを告げるわけにはゆかなかった。
 帝のお顔が僅かに明るくなられた。
「そやな。わしは若いんやな」
「そうどすがな」
「これから何でも出来るんやな」
「そうどすがな」
「家康をあっという目に会わせることも出来るんやな」
「そうどすがな」
いつの間にか岩介は泣いていた。何故だか、岩介にも判らなかった。わけもなく、ただ涙が流れた。
「岩よ」
「へえ」
「泣いたらあかん」
「泣いとりまへん。目えから水が出とるだけや」
「岩よ」
「へえ」
「ありがとう」

********

他にも、京都所司代に仕え、帝の隠密になった朝比奈兵左衛門。キリシタンの忍者、霧隠才蔵。これらの男たちに慟哭します。


 隆慶一郎の小説はいずれも素晴らしい生き方に満ち満ちています。

本を紹介します。
「にあんちゃん」です。
「にあんちゃん」は、小学生が書いた日記です。隆慶一郎(池田一朗)はこの本を元に映画のシナリオを書きました。
 私は「にあんちゃん」は子々孫々まで世界中の人に読み継がれてほしいと思っています。
隆慶一郎を動かしたほどの本だと思っています。
 最近きっかけがあって再び「にあんちゃん」を読みました。慟哭しました。
それで隆慶一郎の小説のところに来て「にあんちゃん」の紹介をさせて頂ました。
出来れば彼の作品の全てのところで紹介したいです。

 本来のレビューから外れてしまったでしょうか・・・・

なぜに未完・・・・・ ★★★★★
●以下全巻の感想です。●天皇家とお公家さんの話ですからいつもと違って雅な話なのかなあっと思ってましたがいやあすごい躍動感でした。●主人公もはじめからかなり完成された強さなんですが物語りの中でさらに成長するし。どこまで強くなるんだ。●一夢庵〜のお連れと同じ出身ですよ、主人公は。●普通あいいう異形な敵って「初めて人間の優しさに触れられておでうれしい、フゴー」見たいなせりふとともに主人公に敗れて死ぬんですけど、こんな展開ですか、作者はつくづく異形の者が好きで彼らを活躍させたいみたいですね。●あそこから面白くなるのになあ、本当いい感じにストーリーが動き出すんですよ。若干の閉塞感を抜け出て展望や明るさがや敵の姿も見えかけたのに。●今回の主人公はいつにも増して異色です。すごい強靭な肉体を誇るのにあまり荒事に頼らずトリッキーな技と精神力で戦います、強いて喩えるならばプロ野球選手なのに天才ハッカーでもある、そんな感じです。
もっと読みたかった ★★★★★
題名に魅了されてしまう方もあるかもしれません。
主人公の花と火、読み進めていくと非常によく分かります。
影武者やかくれさとなど読んでからこちらを読むと非常に面白いです。
隆慶一郎と呪術 ★★★★★
隆慶一郎と言えば『影武者徳川家康』や『一夢庵風流記』が有名ですが、この作品は上記の作品とは違った意味で面白いです。物語の中に呪術が当然のように登場するというのは伝奇的ではありますが、昨今の陰陽師やハリーポッターに親しんだ人々には入り込みやすいのではないでしょうか。天皇を題材にしている小説というのはあまり読んだ経験がなかったのですが、天皇が長い間存在してきた理由のひとつが、この作品の中に描かれているように感じました。