女心をキュンとさせる湯瀬クンの多彩な表情
★★★★☆
あ〜あ、湯瀬クン、追い上げ激しいと思っていたけど、11巻は完全にノロエミにノックアウトされてるな。そして10巻から引き続き読者は湯瀬クンの隠されたあれやこれやの表情を見せ付けられて、湯瀬贔屓になった人も多い筈。でも悲しいかな、肝心のノロエミは心は真っ直ぐだけど、激しく天然の超ド級の鈍感娘・・・。しかし湯瀬クンはめげない。面と向かってプロポーズ、隙さえあれば口説こうと、触ろうとする。極めつけは腹黒同盟仲間の蝶子と利害関係一致で、ノロエミ落とし作戦を決行しようとする。
ここまで余裕の展開を見せていた湯瀬クンだが、自分の”見透かす側の人間”としての立ち位置を、恋する速水に逆に見透かされてからはどんどんケチが付き、いつもの安定した湯瀬スマイルに動揺が走り、しばしば赤くなったりするのがなんともかわいらしく微笑ましい。
そして速水の思いやり溢れる愛し方を見ていると、この人ってノロエミにそっくりだなぁと思うのだ。ノロエミ程ドジでも鈍感でもないけれど、優しさの質は同じものではないかと思う。
ノロエミを巡る4人の男達の恋愛模様だが、本命の黒木兄が自分の気持ちに気付いてしまえば終わってしまう物語を、もっともっと存分に楽しむ為に、是非とも黒木兄にはもう少しだけ鈍感でいて欲しいと思う。
恋愛方面だけでなく、仕事や生甲斐についても考えさせられる本作品は、人とのコミュニケーション不足に苦しむ現代の若者にも、参考になる要素があるのではないだろうか。