単位から読む近代革命史
★★★★★
誰が測ろうと1メートルは1メートル、1グラムは1グラム。
何を当たり前のことを、と思われることがあるかもしれない。
しかし、この当たり前とてせいぜいこの200年程度のこと。
当たり前のこのことが、近代革命を誇らしくも象徴する。
ヨーロッパを中心に、「単位」の歩みを追った一冊。
とりわけフランス革命以降の「近代」というものを、単位というフィルターを通じて
鮮やかに描き出していることに軽い興奮を禁じえない。うっすらとは把握していたこととは
いえ、メートルの定義をめぐる二転三転には、ただただ唸らされた次第。
そしてもうひとつの驚きは、文庫化こそつい最近のこと(2007年)だが、原本が出版された
のはなんと1970年である、ということ。あるいは単に私の無知ゆえのことかも知れぬが、
いかに文庫化に当たって加筆修正がなされたからとはいえ、この本の持つ新鮮さはそれから
40年近くが経とうかという今日なお決して色褪せるものではない。
自分的にはイマイチあわず
★★☆☆☆
もともと講談社ブルーバックスとして1970年に出版されていたものを学術文庫として発売した本。
基本はメートル法の話で、1mっていう単位を決めるためにどんどん精密なものへと進化していく経緯を描く。
最初は地球の北極から赤道までの子午線の長さの1千万分の1だったんですけどね。ナポレオンから「絹の靴
下の中の糞」と罵られたあのタレラン(タレイラン、タレーラン)が発議したのがメートル法の始まりだとか、等々。
この本が書かれた70年以降も当然のことのように単位の進化は続いているとのことです。
ただ、どうも語り口がいまいち好きになれないので星2つ。
毎日出版文化賞受賞作。
単位の制定から国際統一に腐心した先人たちの取り組み
★★★★☆
単位の制定から国際統一に腐心した先人たちの取り組みをユーモアあふれる筆致で描く意欲作。
メートル原器、キログラム原器の制定に際し、科学的知見に基づいた取り組みが、時代の変遷にあわせてよく語られている。しばしば、明らかに、意図的に話しが脱線し、やや辟易するが、史実としては良書だろう。
講談社学術文庫は良書が多い。