ウイングス最大のヒット作にして最高傑作となったアルバム『Band On The Run』(邦題『バンド・オン・ザ・ラン』)の興奮冷めやらぬ時期にリリースされたとあって、本作『Venus & Mars』にはすっかり調子を取り戻したポール・マッカートニーの姿がある。再び黄色い悲鳴を浴びる現役ロック・スターとなったポールは、青春の最後の輝きを楽しんでいるようだ。ファンの歓声は常にポールから最良のものを引き出す。そして本作は、より大きな賞賛を勝ち取っている前作と比べても、ほとんどひけを取らない出来ばえとなった。
ポールは自らのお気に入りのテーマである“セックス、ドラッグ、ロックン・ロール、そして結婚”から決して離れないが、「Listen To What The Man Said(あの娘におせっかい)」や「Letting Go(ワイン・カラーの少女)」のような華麗で軽快なナンバーに陽気な卑わいさを加味させる手法からは、彼の自信がはっきりと伝わってくる。「Rock Show」は、ザ・フーの「Long Live Rock(不死身のハードロック)」と並ぶ抱腹絶倒の自画自賛ソングとして70年代を代表するものだ。
本作の楽曲のうちでやや出来の落ちるものは、メロディーとアレンジを事もなげに操るポールの手腕によって救われている。出来のいいものは、ポールが本来の活力を取り戻したことを随所に感じさせる。軽薄で勝手気ままなのに、まったく嫌味がないのだ。ただし、「Crossroads(クロスロードのテーマ)」だけは邪悪な味つけがなされている。(Taylor Parkes, Amazon.co.uk)
名盤。
★★★★★
ポールのビートルズ解散後の全盛期アルバム。…ウイングスのメンバーがポールと比べると、あまりにも弱すぎる。
トータルアルバムとしてはNO1
★★★★☆
ロックコンサートをコンセプトとした本作、トータルアルバムとしては一番出来が良く、初めて聞く人にもオススメのアルバムです。
1〜13曲目まで怒涛の名曲ラッシュです。あの娘におせっかいのアルバムバージョンもココでしか聞けません。後半のたたみ掛けは品等に素晴らしい。若くして亡くなったジミーの曲(多分ポールが相当手直ししている?)もカッコいいです。
トータルアルバムとして優れているだけにボーナストラックは必要ないかと思います。
ウイングス全盛期を飾る傑作
★★★★★
アラントゥーサンがピアノを弾いている2曲目「ロックショー」が絶品。ウイングスのベストトラック候補だろう。
他にも傑作、佳作がならび、ウイングス全盛期をかざる快作だ。
もう一枚、この路線でいってほしかったが、このひとはそういうことをいさぎよしとしないんだな。
それにしてもヴィーナスアンドマース〜ロックショーのメドレー、これほど夢をみさせくれる展開もそうはない。
ほんとにたいしたものだ。
「あの子におせっかい」は素晴らしいが
★★★★☆
オープニングに間髪をおかず、元気な「ロック・ショウ」が飛び出す。前作「バンド・オン・ザ・ラン」での成功がビタミン剤となったかのような自信に満ちたライブ向けのナンバーだ。
さらに、1%だけヘルター・スケルターを思わせるタイトな「ワイン・カラーの少女」、トム・スコットのSSが活躍する「あの子におせっかい」(本アルバムの最高傑作)、穏やかで感動的なバラッド12曲目など、魅力的な曲もあるが、「マイ・ラヴ」「ブルーバード」のような超A級キラー・チューン不在のため、ややランクは落ちるような気がする。
バンドとして勢いが付き、音楽の幅は広がったが、高さはちょっと削れてしまった、という感じかな。
ただ、ポールの唄い方に、昔のビートルズ節(?)がところどころ戻ってきたような印象を受け、そこは好ましく聴いた。
「バンド・オン・ザ・ラン」と双璧の名盤
★★★★★
ポールのというより、ウイングスが光り輝いていたときの一枚。「バンド・オン・ザ・ラン」と並び称されて当たり前の名盤。一曲一曲の出来では、こちらのほうがいいと思います。ポールもウイングス時代のライブでは、このアルバムからの選曲が多かったと思います。最初のビーナス・アンド・マースからロックショーにつながるメドレーはまさにポール・マッカートニーの代名詞といえるものです。(よほど「アビイロード」ので気が気に入っているとしか思えません。)ビートルズ以降もポールの爆発が続いていることを証明した一枚、チェックすべし。