日本人は20世紀なのを考え行ってきたのか
★★★★☆
寺島実郎氏の著書を読むのは初めてであり、これを読むまではTBSのサンデーモーニングのコメンテーターとして、冷静で未来志向の発言をする方という認識だけであった。
著者は、21世紀は、国際人から地球人へ、アメリカの世紀からユーラシアの世紀へと移り変わってゆくという。21世紀を考えるにあたり、20世紀を振り返り、歴史を学ぶことで21世紀を考える態度を考えさせてくれる。
20世紀の日本は、遅れてきた19世紀型の植民地帝国と未熟な20世紀型の国民国家が同居し、その焦燥から、ナショナリズムの台頭、植民地主義の加速、また反動としての西洋人にタイするコンプレックスと、アジア人に対する居丈高な態度という二重人格を作り出した。言論においても脱亜入欧型近代化路線(福沢諭吉氏の脱亜論)とアジア主義・日本を名手とするアジア連盟作り(樽井藤吉氏の大東合邦論)の間で世界とのつき合い方を逡巡してきたことが語られる。また20世紀においては、日本とアングロサクソン同盟(日英同盟、現在の日米同盟)が、結果として勝ち組に加わる方法論であったことも指摘する。
また、著者は資本主義について以下の3点の重要性を指摘している。
1.「売りぬく資本主義」でなく「育てる資本主義」
2.「儲けるだけの資本主義」でなく「節度ある資本主義」
3.「格差の資本主義」でなく「中間層を育てる資本主義」
国際情報活動に関して著者は、
「問題解決指向型、目的意識型」でなければならない、「事態を転換 改善する構想」に展開しなければならないからである。とし、サロンや教養を深めるタイプの国際情報収集をいかに続けても決して情報の密度は深まらない。現象の解説だけになってしまう。と述べており、21世紀に向かって、世界の中の日本を考えるもののあるべき姿が語られる。
サンデーモーニングのコメントが、より味わい深く楽しめるかもしれない。
小生は、この後 著者の「脳力のレッスン」等 数冊を投了した。
「この国のかたち」続編?
★★★★☆
司馬遼太郎の「この国のかたち」と重なる錯覚を覚えながら読み進んでゆき、現代をグローバルな視点で捉えている著者が、現場に身を置きながら時代を捉えてゆく姿勢には好感が持てた。
カッコイイ日本があった時代
★★★★★
1900年ごろの日本は、深い知性と崇高な志を持って「世界」と対峙していこうと必死にがんばっていた…。近代史に明るくない私でも、読んでて胸がどんどん熱くなった!今の、アメリカという視点からしか世界を見れない日本とは比べものにならないくらいカッコイイ日本があったんですね。