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ゾロアスター教 (講談社選書メチエ)

価格: ¥1,575
カテゴリ: 単行本
ブランド: 講談社
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「ツァラトゥストラ」の名を聞いたことのあるすべての人にぜひ一度読んでいただきたい一冊 ★★★★★
古代インド・イラン高原・中央アジアの民族宗教と系譜(変遷・影響)に始まり、
ザラスシュトラ・スピターマ(ゾロアスター)の人生、
ペルシア帝国史(アケメネス朝・アルサケス朝・ササン朝)を概観し、
さらには現在のゾロアスター教の成立過程をも見据える。大乗仏教への影響のみならず、
イラン高原のイスラーム化を通じた「ザラスシュトラ伝説」の発生を通じて、中世・近代ヨーロッパにおける「ツァラトゥストラ伝説」
果てにはニーチェ・ナチスへの影響までキチンと伝えている。

フリーメイソン→モーツァルト/シカネーダー歌劇『魔笛』への影響が語られていないが、その枝葉末節の漏れについては「瑕きん」とするにあたらないであろう。

著者は謙虚に下記の一文で本書を閉じている。
 「本書が(略)ドイツのロマンティシズムや、日本独特のエキゾチズムから解放された、
  客観的なゾロアスター教思想像を提供できていれば幸いなのだが」

客観どころか、本書は最高峰といっても良い。
主観の入れ方(著者の現地ルポ等)も巧妙で全体を阻害していないし、かえって他の資料・筆致を引きたてている。
資料としても読み物としても超一流の書籍!

「ツァラトゥストラかく語りき」の言葉を聞いたことのあるすべての人に勧めたい最高の良書。

……ただし、本書を食事中に読むことは控えたほうが良い。
というのは、ゾロアスター教の教義は現代社会一般の衛生観念と相容れないものが多々ある。つまり……というものが「聖なるもの」とみなされるので、そういう倒錯的な嗜好を持たない人は、断じて、本書を食事中に読んではならない。
地に足の着いた学とユーモアにあふれた格好の入門書! ★★★★☆
イラン系越境英語作家ナヒッドゥ・ラチュリンの小説を読んでいたら(『炎を超えて』Jumping over Fire、City Light Books 2005)、ゾロアスター教に起源を持つ火の上を飛び越える新年の遊びに主人公が興じる場面があって、現代のイランにもゾロアスター教がまた生き残っているのかと知ってちょっと驚いた。イスラム神権政治の行き過ぎに対する抵抗として敢えてゾロアスター教の遺物を持ち出してきたのかとも思ったが、古典の『ハーフィズ詩集』(東洋文庫)を読んだ時も、ゾロアスター教徒の営む酒場が出てきたり、イランにおけるイスラム社会とは伝統的に決して一枚岩ではないのだと認識を新たにするとともに、そもそもゾロアスター教がいかなるものか気になりだした。

今度、ゾロアスター教関連の本を数冊読んでみたが、青木健『ゾロアスター教』が入門書としても、また、知的な読み物としてもいいと思った。上記の新年の祭り(ノウ・ルーズ)についても、また『ハーフィズ詩集』についても(ゾロアスター教は、イラン・スーフィズムとして生きながらえる)分かりやすく教えてくれている。さらに知的なスリルを味わえたのは、まだらに見え隠れするゾロアスター教における近親婚の伝統だ。著者は、この本のなかでアルメニア的ゾロアスター教などの例で近親婚の伝統について数回言及している。それは、僕にとって大きな発見だった。というのも上記の『炎を超えて』は、実は、主人公の妹と異母兄弟の兄が近親的な愛を燃え上がらせる小説なのだが、ラチュリンがそういうあまりに重い題材を選択するのは大胆過ぎるように思えて仕方がなかったからだ。この『ゾロアスター教』を読んで、近親姦を直接的に仄めかす題材をとりあげる背景、伝統がよく理解できた。

最後に忘れてならないのは、著者青木健氏の型にはまらないユーモラスな文書の味わいだ。イラン・インドその他の地域を自分の足で歩きながら古代アーリア民族の宗教についてユーモラスに語る青木氏は、ゾロアスター教の享楽肯定、形式的儀礼を排した自由を彷彿させる。今日におけるゾロアスター教の古代宗教としての魅力と、青木氏の飄々としたスタイルは、何か切り離しがたいもののように思える。
ペルシア ★★★★★
1 神官の妥協と温存という光と影
 について、考えさせられる。

2 ペルシアの鷲と、エジプトの隼、日本の隼等との
 関係について、調べてみたい。石上 玄一郎。
おもしろい! ★★★★★

帯のキャッチ「世界は光と闇の永遠の闘争の舞台である」に惹かれて買ってしまった。著者の博士論文をもとに刊行された『ゾロアスター教の興亡―サーサーン朝ペルシアからムガル帝国へ』は、論文でありながらも平易で、あまり知られていない文献を引用り、また文献だけではなく現地をフィールドワークして調査した章もあって、非常に好感がもてる書籍であった。その表現方法も博士論文のような、いかにも型のはまった記述ではないため、もとは博士論文であったにもかかわらず、表現方法がおもしろく、ふきだしたこともあった。

その著者が書く本であるのだから、おもしろくない訳がない。日本ではあまりにもマイナーな宗教・思想に関する記述であるにもかかわらず、非常にわかりやすい。カエルを殺しまくるゾロアスター教徒や、儀式の文言と唱える文言の齟齬についての記述などは、その場面を想像しておもわず吹き出してしまった。

前著で比較的詳細に書かれた、イランに残ったゾロアスター教に関する記述が、極めて少なかったことは遺憾であるが、瑕瑾というべきであろう。
とっつきにくそうで実は読みやすく、知的好奇心も刺激される良書 ★★★★★
現存する世界最古の宗教の一つであるゾロアスター教。
名前は知っていても詳しいことはあまり知られていないこの宗教について、広くペルシアの歴史を踏まえつつ解説していくのが本書。

こういった、日本人にはあまりなじみのないテーマの概説書を書くのは、なかなか大変なことだと思う。
丁寧に説明しすぎると重くなってしまい、逆に軽妙に書こうとするあまり独りよがりになってしまったり・・・。

その点、本書は読みやすく、知的好奇心を刺激され、なおかつ説明も痒いところに手が届くという奇跡のバランス(言い過ぎか?)で成立している。
文句なしに良書だ。

もちろん、ゾロアスター教そのものにも、非常に興味深い点が多い。
土着の宗教の一つであったものが、国家宗教として確立されていく過程。
中世ペルシア文化に与えた影響、そしてその後のイスラーム文化とのあまりの違い。
意外なほどに現世の楽しみを肯定するその教義。
他のいろいろな宗教と比べれば比べるほど、いろいろな発見がある。

著者の文章は読みやすいだけでなく、時にちょっと笑ってしまうような表現も多く、楽しめる。
歴史好きや宗教に関心のある人はぜひとも読むべき一冊。