アンチSF?
★★★★★
あらすじを見たとき、これはブンガク的SF? ちょっと難しそう?
と思ったのですが、なんてことはない、とてつもなくおもしろい独り言文学でした。
宇宙人が襲来しようが北区が滅亡しようが、止まらない意識の濁流。
非日常も日常も巻き込み、ただひたすら暴走する独り言。
読み終わったあとの爽快な疲労感はクセになります。
大げさなタイトルは笑える。
★★★★☆
演劇集団「五反田団」主催、前田司郎の小説。
宇宙人が侵略しつつある世界という異常なシチュエーションにありながら、
ほとんどそれと関係なく特別な行動も起こさず
脳内独り言によって進んでいく日常との対比。
その両者がまったく批判的にではなく、
ただ横置きされているという前衛さが不気味。
あっという間に世界に引き込まれる
★★★★☆
前作が気になって立て続けに前田司郎。
一つ分かったのが、
この人はすごいわき道にそれるのが多い。
何かを説明してるなかで、またその中の言葉につっこみが入る。
話の中に宇宙人が出てくるんだけど、ほんとにおまけでしかない。
あ、そういえば宇宙人いるんだったみたいな。
ごく平凡な20代後半の男の1日の話。
登場人物も多くない。
後半最後はずっとSM。
この男の葛藤というか、心の中の動きがおもしろい。
タクシーの中で読んでたんだけど、思わずニヤッとしてたかもしれない。
独り言が笑えます
★★★★★
カテゴリ的にはSFと言う事になるのでしょうか?
文学賞の批評では「宇宙人が怖くない」ということで
跳ねられましたが、私はこれでいいと思います。
むしろ、それが笑えます。
地球に危機が迫っても、案外みんな冷静だったり、
目の前の小さな問題に心を奪われるところにリアリティ
を感じます。そこが文学なのでしょう。
主人公の坦々とした独り言(一人思考?)がテンポ良く
これまた笑えます。
同時収録の短編「ウンコに代わる次世代排泄物ファナモ」
も、味があっていい作品です。
安心した
★★★★★
前作「愛でもない〜」からの期待を裏切らなかった。宇宙人云々だからSFということでは全くないのでその辺で読者を選ぶことはない。作者らしいといっていいのだろうか、力がぬけていてかつ滑らかな世界観は維持されていて、最初から最後まで読者を引っぱってくれる。今回は主人公の思考、特に愛や憎しみや、サディズムとかマゾヒズムについての考察に力点がおかれているようにもみえるが決してそれが作品を重苦しくしているわけではない。また宇宙人の使い方が面白い。