神と心と言語の限界
★★★★☆
全知全能の神と、神の言葉が聞こえる少女、その姉と父母の物語。
誰かの会話と思考の声だけで物語は進行する。
ぼーと読んでいると、いつのまにか語り手が変わっていてびっくりするが、
そのくらい語り手の移り変わりが突然で、しかも前の語り手から、うまくスライドしている。
それが誰かと誰かの境界があいまいで、誰かに手を握られているという感覚につながる。
ただやはり、神とか存在とか時間とか、そういうことを扱うと、
登場人物の父親も言っているが、言語という限界が見えてしまう。
とても難しいことにトライしている小説ではないだろうか。