第52回岸田國士戯曲賞受賞作品
★★★★☆
作者は演劇集団「五反田団」の主催。
本書は五反田団+演劇計画2007の公演、
『生きてるものはいないのか』の台本を収録したものである。
本作品は第52回岸田國士戯曲賞を受賞している。
舞台上での「死」は本当の「死」ではなく、
「死体」は生きているにもかかわらず
公演の最後まで舞台上で「死んで」いなければならないという
演劇の「お約束事」を、徹底的に逆手に取った作品。
すっとぼけた「死」の後ろ側に見えてくるのは
私たちのすっとぼけた「生」の姿であり、
作者の時代意識と云おうか、危機意識と云おうか
閉塞している(ようにみえる)日本ブンガクを
揺さぶる仕掛けは巧妙、かつしたたかである。
本谷有紀子といい、岡田利規といい、
演劇人の鋭い身体/口語感覚からくる
揺さぶりは刺激的だ。