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嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 善意の指針は悪意 2 (2)(電撃文庫 い 9-2)

価格: ¥599
カテゴリ: 文庫
ブランド: メディアワークス
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いつも通りに ★★★☆☆
前作と内容的には変わらない。
相変わらず壊れているまーちゃんと、嘘の塊であるみーくんの物語。
そこに殺人事件だか傷害事件だかが発生し、その根幹ではやはりまーちゃんの過去の誘拐事件が関わってくる、という感じの。

物語的に完結していた前作を、どうやって続編繋ぐのかな、と思っていたので、正直なところは感心した。
巧い、と表現した前作に比べればやや小ぶりながらも、繋ぎの作品と見れば素晴らしいの一言に尽きる。
ただやはり前作の圧倒的破壊力に比べてしまうと、どうしても纏まって見える。
それは悪くないのだけれど、決して良いと呼べるものでもない。
ぜひとも、前作をぶち抜ける、アッパーなロゥテンションを見せてほしいものだ。
サブタイトルが的を得ている。 ★★★☆☆
デビュー作の続編ってのが一番難しいところでしょう。それなりに続編になっていて感心しました。入院した病院でまーちゃんが発見した死体。またまた、みーくんの悩みの種は増える訳ですが、ストーリー展開、解決編ともになかなかいい出来です。ただ、前作に比べるとインパクトにかけ、まーちゃんがただの幼児退行になっているのは残念でした。
事件の動機は ★★★☆☆
 前巻でかなり閉じた結末を迎えたので、正直言ってどのように展開させるのか分からなかったのだが、新たな人物が登場してきました。長瀬透。みーくんの元彼女という設定。
 こうなると、みーくんは幼少期の事件後、どういう立ち位置で生きて来たのか良く分からなくなってくるなあ。まーちゃんらぶと言いながらも、浩太&杏子誘拐事件が起きるまではその存在と関わることなく、長瀬らぶで生きていた時代もあったことになってしまう。そうなると、みーくんは本心では今でも普通の生活がしたいのだけれど、色々な事情があってそれができないから、代替案としてまーちゃんとの暮らしを求めているんじゃないの、とも思えてくる。でもそれって、まーちゃんの記憶が戻ることを恐れていることと矛盾するしねぇ。まあ、透が登場してくるのには、それなりの理由があるわけだけど。まだまだ過去にとらわれ続けます。

 お話的には、(恋日先生の実家の病院に)入院中のみーくんと、後追い入院したまーちゃんが病院で(自然死ではない)死体に遭遇する、というもの。
 過去の事件に関係する展開もあり、新たなキャラとして看護師さん(おそらく、らぶみさんと言う名前だろう、きっと)も登場するという、前巻の正統的な続編。
「謙虚な僕らに幸あれ。」 ★★★★☆
1巻が読めて、続きも読みたくなった人なら2巻も読めると思います。
今回は元カノが出てくる「病院」での話でした。元カノの妹さんが、ちょっとおマセで可愛かった。

みーくんの本当の名前も明かされます!なるほど!!確かに女の子向けの名前だね……しかもひらがなだそうで。(みーくんは、自分の本名が大大大嫌いなんです)


みーくんの掛け声の「はいよ」「はいよぉ」「どっこいしょ」にはウケました。あと文庫本のカバーを外すと仕掛けがあるのは電撃文庫では珍しいのでは??(わかんないけど)
文体はともかくも、純文学! ★★★★☆
 人は誰にでもなれる、翻って、人は誰かにしかなれない。
 それがこの小説の主題。

「……ほんと、僕は誰なんだろうねえ」
 まさにこのひとことこそが小説のハイライトとなる。
 ついに名の明かされることのない僕の前に現れる元カノ、長瀬透。彼女と僕との間で
交わされるコミュニケーションはすべて名前を入れ替えるかたちで行われる。こうして、僕は
「透」を引き受けることによって、辛うじて、僕でいられる。
 彼女の登場によって、マユと僕との関係もたちまちにして明かされる。
 つまり、僕は道真の「みーくん」を引き受けることによって、辛うじて、僕でいられる。
そして、マユはマユで、「みーくん」の存在によって、辛うじて、「まーちゃん」として、
「壊れた」相を抑え込むことができる。
 僕がなぜ「嘘つき」であらねばならぬのか、という問題もこの構造によって説明がつく。
 つまり、語るべき真実、僕を僕として語りうる人格などというものがそもそも僕にはない
のだから、必然的に僕は嘘つきであるほかない。だからこその「嘘つきみーくん」。
 実によく練られた構造だ。

 別にこれは「心の闇」などという抽象論ではない。人格というものはすべからく、他者に
対する共依存性、可塑性において成り立つ。そのことをエキセントリックな舞台装置で表現
しているに過ぎない。この大風呂敷をどう回収するのか、入間氏の腕の見せ所。