親子ってはたから見るよりずっと難しい
★★★★☆
育児放棄する母と我慢し過ぎる子供。
母と言うより女の部分が強い親って意外と多いみたいですが、確かに子供があまりにも頑張ってしまうと、自己嫌悪と罪悪感で逆の態度を取ってしまうこともあるでしょうね。
責められないことが、逆に責められているように感じられる。そもそもそれが自分の罪悪感のせいなのですが。
子供は逆にある年齢くらいまでは親が絶対で、どんな仕打ちを受けても親を慕う気持ちはなくならない。
だから頑張ってしまうというのも悪循環なのでしょうね。
涼哉は自分よりもまず相手の気持ちや意思を優先してしまうようなところがあります。絶対的に保護してくれるはずの親からずっと突き放されて育った子供には、どこか人の顔色を伺って息をひそめてしまうような、そういう人が多いのかもしれません。だからどんなに不甲斐ないと思ってもなんとなく理解できるかな。
ずっと恋に気付いてなかった岡嶋ですが、はたから見るとどう見ても恋(笑)。
だけど普通の男の子なら、同姓が気になっても「そう」とは中々思えないものですよね。
そういう意味で彼らの心の動きが無理なく自然に感じられました。
ずっと嫌な目に会い続けてきただろう涼哉ですが、物語の中ではどちらかというと理解者達の話に焦点が絞られている。
だからこそ、お話に引き摺られて同調して重苦しく暗い気分にならずに最後まで読めました。人の嫌な部分が目立つ作品は、読書で楽しい気分になりたい自分としてはあまり好みではないですね。
それにしても当て馬の柊さんが良い人過ぎて、出来れば他の話で救済してもらいたい(笑)
呆れちゃった
★☆☆☆☆
学費、生活費を援助交際で稼ぎ、得たお金で 幼い妹を養い、学校にも通う「涼哉」の話。
でも母親も居ます。しかし、男にだらしないダメな母で、子供二人をほったらかし、、、
そんな理由で 生活に困窮した 何とも貧乏臭い話でした。
しかしどう考えても不満なのは、涼哉が
助けてもらった男に自ら志願し 安易にカラダを売っちゃったり
どよ〜んと暗く 気の滅入るような性格だったり・・・魅力どころか 好感を得られる部分が無いのですよ。
なのに援交の相手、憧れの同級生 二人の男に言い寄られ、最後にはどちらか選べと来たもんだ。
呆れ返るほど 援交相手の柊さん、いい人過ぎ。
同様に 同級生の岡嶋君もいい人過ぎ。
なんだかんだと 都合良過ぎ。
涼哉、健気を装い、ずーずーしく、そしてしたたか。
同情の余地は無いし、かわいそうでも気の毒でも健気でもない・・・実に変な話だった。
ひそやかすぎて・・・
★☆☆☆☆
なんというか、ご都合主義。
恵まれない家庭環境の中、生活のために身体を売った相手はお金持ちで、やさしくて、大学の費用まで出してくれる。
片思いの相手も、その家族も、主人公の家庭環境に眉をひそめる人たちをものともせずやさしい。
そして、眉をひそめているはずの人たちも、本当に眉をひそめているのか分からないほどやさしい。
大学にもすんなり恋人と同じところに入れちゃうし・・・
主人公は、うんざりするほど被虐的。
自分なんかが好かれるはずない。
悲劇的に盛り上げて、ハッピーエンドにしたかったのかもしれないけど、先が見えすぎてうっとうしい感じ。