世界の音楽を体系的に知りたい方へ
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本書は世界中の様々な民族に伝わってきた個性的な音楽を、特に伝統音楽に重点を置きながら広く浅く説明しています。流行歌・商業音楽としてのワールド・ミュージックからは、一歩離れたスタンスをとっていますが、各民族の伝統音楽の特徴がわかれば、ワールド・ミュージックへの理解も的確になることはうけあいです。著者の若林忠宏氏は、世界中の民族楽器を演奏することで有名だそうで、特に民族楽器の説明にかけては、とても具体的でわかりやすい(例えば、撥弦楽器カーヌーンと打弦楽器サントゥールの違いなど)。本書はまさに、世界各地の音楽の素晴らしさを単に感性で味わうだけでなく、その歴史を知り、体系的・音楽論的に理解したい人には最適でしょう。