「幸せ」について考えさせられる作品
★★★★☆
様々な選択肢が与えられるようになった現代の女性。
自由に未来を決めることができなかったかつての女性たちから見ると、今、私たちは夢のように自由に自分勝手に楽しく生きていると思う。けれども、その一方で多くの選択肢を与えられているからこその息苦しさもあるのだ。なおかつ、多くの選択肢が与えられているように見えて、まだまだ女性は多くの制約、目に見えない何かに縛られていると感じる瞬間もある。特に地方在住者にはその縛りが現実的に存在するのだと思う。
この作品では、それらの現実がほんの少しデフォルメされて描かれている。ただ、地方在住者の私にとっては、「現実」として起こりうるかもしれない、と思える作品だった。読み終わってしばらく、結局のところ、彼女たちにとっての「幸せ」は何だったんだろう、私にとって「幸せ」って何だろうと考えさせられた。
根本的に違ったようです
★★☆☆☆
自立している女性がこの本を読んだら、イラッと来ると思います。
30歳にもなったら自分の状況は自分の責任。
「そんなこと教えてもらってなかったから」なんて、
いい大人が言うことじゃありません。
私にはチエミが理解できませんでした。
でもこんな考え方になったのは、
私の母の影響が大きいはず。
改めて母に感謝しました。
同世代として共感できました
★★★★★
母を刺殺した容疑で失踪するチエミと、そんなチエミを探すみずほ。
短大を卒業してから地元に残り、時事もろくにわからない独身OLのチエミに対して、
高校から進学校に通い、名の知れた東京の大学を卒業してフリーライターとなり、
一流企業に勤める男性と結婚したみずほ。
大人になるにつれ二人に距離が出来てしまう心情や、
女子グループ内の友人関係のじっとり感、結婚・出産などのライフイベントに対する焦り。
どれも、主人公2人と同じ30代前半の私には思い当たるもので、
女子にとって汚い一面かもしれないけど誇張のない真実味のある描写だと思った。
ストーリーは、序盤は複数の話題が平行して走るので、いったいなんのことかと
思ったが、途中ですべてがつながる。
中盤の、話の筋がつながり始めたところからがとても面白くて、一気に読んだ。
最後まで予想できない展開だったし、親を想う心・子を想う心に感動して
話に引き込まれた。
読後に皆さんのレビューを見ると、批評も多く見られますが
私としては単純に、気持ちよく読み切る事が出来ました。
みずほは奇跡を起こしたと思いました
★★★★★
失踪した望月チエミを尋ねる、幼なじみのノンフィクションライター=神宮司みずほの物語です。
チエミに何があったのか。今、どうしているのか。
みずほがチエミの消息を訪ねていく過程で、彼女の友人や母親との関係が解き明かされていきます。
著者と同年代の境遇=作中で対比に使われる酒井順子著「負け犬の遠吠え」とは異なる、バブル崩壊後に地方の学校を卒業して世に出た女性たちの代弁になっていると思いました。
ただし、この物語は、単なる同世代への理解にとどまっていません。
物語の謎解きに関わる部分なので、詳しくは書きませんが、僕はみずほが奇跡を起こしたと思いました。
それは、例えば経済的に恵まれた環境にあるからと言って出来ることではなく、恵まれていないからと言ってあきらめられる事ではなく、
みずほが「チエミを助けたい。」と強く願って、出来る限りのことをした結果だと思いました。
人を救いたい、と僕も思うことはあるのですが、それでは実際に人を救ったことがあるのか、と考えると、ほとんど無いことに気付きます。
では、どうすれば、人を救うことが出来るのか。それを具体的な例としてみずほに示されたように感じました。
おかしくないですか???
★☆☆☆☆
決定的におかしいとこがあると思います。
ズバリ書くとかなりのネタバレになるので…
「普通まず先に検査してハッキリさせるでしょ?」です。
夜中に読み始めて何となくズルズル一晩で読んでしまいましたが、何だかがっかりしました。
田舎で未婚で決まったカレもいなくて、という環境を巧く描いてるなぁとは思いましたけど…