心を揺り動かされました
★★★★★
天は人の上に人をつくらず、と語ったご本人が雲の上の人のような偉人ですが、その福沢先生(読後、やっぱり「先生」をつけたくなります)を身近に感じさせてくれる本です。
人間くさいエピソードが色々と散りばめられ親近感も湧きますが、貧しい農村の人々に直接の支援をしていた事実なども記されその人徳の大きさに改めて尊敬の念を抱きます。
(病床でもなお弱きを助けようとする先生の心優しさ、それに気概をもって応える弟子、後々まで感謝の念を抱く村の人々、といった一連の話には涙が出ます)
筆者がまた、熱い人で思い入れたっぷりの次のような記述に心を揺り動かされました。
「この師ありてこの弟子あり。教育は人と人の縁をつないで輪廻してゆく。これこそが教育の理想ではあるまいか。」
「そこに至る道のりには、社会のためにこの会社が絶対必要なのだ、という先人たちの強い信念と、私利をかえりみない崇高な志があったのである。」
「福沢先生は『蘭学事始』を読んで先人の苦労に涙したという。だが、今の日本人の幾人が、先生の苦労を偲んで涙しているだろう。」
人を思いやる心、偉大なる福沢先生に学ぶ
★★★★★
「慶應義塾の創設者」、「学問のススメ」以外に、日本人はどれほど福沢諭吉を知っているのだろうか。
本書を通して感じたこと、それは、この鉄人を知ることなく、日本の近代化の歴史を語れることは無さそうである、ということ。
特に、日本の教育や産業の近代化へ及ぼした影響を知れば、自ずと、福沢諭吉が一万円札に描かれることが理解出来る。
福沢諭吉と同時代、歴史に名を残さずとも、偉大な人物は数多いたことだろう。それらと福沢諭吉との大きな違いの一つは
人を思いやる心、であろうと本書を通じて感じた。
本書には、福沢諭吉の業績は当然ながら、彼が周囲の人を強く思いやる優れた人格者としても描かれていることに、共感を覚える。
また、早稲田大学創設者 大隈重信との親交についても感動的であった。
文句無しの★5つとさせて頂く。
素晴らしい本です
★★★★★
必要にかられて読んだ本書でしたが、
「どうしてこんな良書を今までスルーしてしまったのか?」と後悔するくらい
素晴らしい本です。
あまりにも有名すぎる福沢翁のことは「ああ〜知ってるよ」と生半可な知識を知ったかぶりしていました。
教育をどう考えていたか?そしてその行く末は?
国家を築いていく明治維新の時代に生きた翁の言葉が、今を生きる私たちの心をも動かします。
愛情力
★★★★☆
教育は「愛」である。という最後のメッセージが胸に刻まれました。
福沢諭吉という人の情の深さと、勤勉さと、強い意志など、現代の人が無くしかけている
大切な点を見習うべきだと改めて感じさせられた本でした。
世の中の男性全てに模範してもらいたい、先生であり、夫、父親、友人の姿であると思う。
文章の描写の旨さはやはり司馬遼太郎には及ばず、表現の方法に
いまいちグッとくるものがないな、と個人的には感じたものの読みやすい本だったので事実を知るには良い本だと思います。
我々が忘れかけているもの
★★★★★
福澤諭吉の生涯を非常に読みやすく、また興味深く書いている本です。
著者は、現代の日本の状況を念頭におきながら、福澤を取り上げているのがよくわかります。我々が忘れかけている事柄、たとえば日本をよりよい国にしていこうという情熱、そのために必要なことを行っていく決断力と実行力、著者は、そういうものの大切さを福澤を通して、我々に示してくれているように思います。
同じ著者の白洲次郎の評伝も良い本でしたが、個人的には、本書のほうが、著者の想いが直接的に伝わってくるように思われ、広く薦めたくなります。