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吉田茂の見た夢 独立心なくして国家なし

価格: ¥1,890
カテゴリ: 単行本
ブランド: 扶桑社
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戦後の「この国のかたち」の礎を築いた宰相の人間史 ★★★★★
本書の著者は、数年前に『吉田茂 ポピュリズムに背を向けて』という本も書き記している。前作が戦前から戦中・戦後の吉田茂を描いていたのに対して、本書は1951年にサンフランシスコ講和条約が締結され、日本が国際社会に復帰して以降、吉田茂が目指したことに焦点を充てている。従い、前作の続編・後編とでも言うべき著作である。

その内容からして、前作が世界史の中の日本という構図であったが、本書はいきおい日本の戦後政治の混沌とした動きを描写しており、55年体制に至る過程での泥臭い人間模様なども興味深い。そこで登場する有力政治家の「国家」に対する思いや使命感には現在の政治には期待し得ない何かを感じる。

間違いなく、日本の戦後を形作った宰相であり、その功績は讃えられて然るべきであるが、その一方で結果として首相の座にしがみついたような評価もあり、人間「吉田茂」をフェアに描写した内容となっていることに好感が持てる。