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変愛小説集2

価格: ¥1,995
カテゴリ: 単行本
ブランド: 講談社
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面白いけど…… ★★☆☆☆
面白いコンセプトだし訳者さんも好きですが、正直期待するほどではなかった。
雰囲気としては面白いけれど、一作ずつで特筆して素晴らしいと思えるものも、
心に残るものもなかった。一遍でもそういうのがあればよかったのだが。
いわゆるキワモノが多い印象で、楽しめたが微妙にすっきりしませんでした。
真実の意味での幸せではないけれど・・・・奇妙で変てこな英米恋愛小説集第2弾。 ★★★★★
著名な英米文学翻訳家の岸本佐知子氏が一昨年2008年に続いて編んだ好評アンソロジー「変愛小説集」第2弾です。前作に続き英米のまともでない変愛小説11編を収めた本書には、恋愛の当事者がどう感じているかは別にして真実の意味での幸せではない愛の形がこれでもかとばかりに集められています。健全な恋愛成就の物語はひとつもなく何処か暗く屈折した心情を感じさせますが、どれも単純なハッピーエンドの話では得られない人間本質に迫る複雑な味わいが楽しめるでしょう。
『彼氏島』ステイシー・リクター著:孤島に一人漂着したギャルがイケメン男子達と逆ハーレム生活を送るが・・・・。『スペシャリスト』アリソン・スミス著:体の中に空虚を持つ「空っぽ女」の数奇な運命の物語でラストが感動的です。『妹』ミランダ・ジュライ著:友人の妹に何時か逢えると信じて心中で理想化する独身老人の哀れな末路。『私が西部にやって来て、そこの住人になったわけ』アリソン・ベイカー著:絶滅危惧種のチアリーダーを探してモンタナの山奥の酒場に集う人々の青春物語。『道にて』スティーヴン・ディクソン著:男女の過酷な道行きで男は諦めず明るく振舞うが・・・・。『ヴードゥー・ハート』スコット・スナイダー著:どんなに強く愛した女性でも何時か自ら身を引いてしまう不幸な男の危険な性。『ミルドレッド』レナード・マイケルズ著:普通の恋人達だと思っていたらあっ!と仰天します。『マネキン』ポール・グレノン著:妻が木で出来ていると気づき苦悩する夫の話ですが妻の言い分も聞きたかったです。『『人類学・その他100の物語』』ダン・ローズ著:激辛風味の男女の恋愛ブラック・ジョーク集。『歯好症』ジュリア・スラヴィン著:奇病に罹った妻への愛を貫き通す男の狂気。『シュワルツさんのために』ジョージ・ソーンダーズ著:亡き妻への罪滅ぼしとして老婦人を助ける男の話で私の本書イチ押しのベストです。
岸本さんの翻訳がナイス! ★★★★★
 冒頭の短篇「彼氏島」を読み始めて、まず思ったこと。それは、岸本さんの訳の生きのよさ。文章に血が通ってて、こなれてて、すっすっと頭に入ってきてイケてるなあと。最近、こうした外国の現代小説から遠ざかっていた私にも、とても読みやすかったです。

 本アンソロジーを作ったいきさつについては、「編訳者あとがき」でこんなふうに紹介されています。
 <愛にまつわる物語でありながら、普通の恋愛小説の基準からはみ出した、グロテスクだったり極端だったり変てこだったりする小説。そういうものを「変愛小説」と名づけ、『変愛小説集』というアンソロジーを出したのが今からちょうど二年前のことだった。(中略)ところが一冊出してみると、私の変愛欲はおさまるどころかさらに加速した。(後略)> そうしてできたのが、この本という次第。

 英米の作家の短篇が十一、収められています。かなり気に入った作品、全然受け付けなかった作品と、玉石混交のアンソロジーだったけれど、わたくし的にイケてて面白く読んだ作品は、「スペシャリスト」「私が西部にやって来て、そこの住人になったわけ」「ヴードゥー・ハート」の三つ。特に真ん中の、主人公が冬、モンタナにやって来てチアリーダーたちを探す物語がよかった。最初のうちは「なんじゃこりゃ?」って“変”な、わけ分からん展開なんだけど、途中から“愛”のともしびがまたたき出すみたいな、まあ、そんな話。読み終えて胸がほっこり、あったまりました。

 こういうアンソロジーも妙な味がなんとも言えずユニークで面白いけど、岸本さんの本では、『気になる部分 (白水uブックス)』や『ねにもつタイプ (ちくま文庫)』のエッセイ集もすっごい好き! エッセイ集の第3弾、楽しみに待ってまーす。