寄り添いあいたい気持ち。
★★★★★
16話よりなる短編集。1番短い作品は2ページしかありません。
ほとんどの作品に孤独な人が出てくるのですが、その孤独さは特殊な
状況のものではなく、日常の孤独について描かれています。
ストーリーがある作品もありますが、スケッチ的な作品も多いです。
誰かと一緒にいたいのにいられない。
誰かと一緒にいるのにすれ違ってしまう。
妄想したり、何かをしてみたり、過去を思ったりして、
寄り添いたいと思うのに、ゲンジツが戻ってきます。
こんな孤独は私も抱えている。そう思えるところが多いです。
他人事ではなくて、読んでいてぎゅっと胸が痛くなったりもします。
それでも、この作品集が魅力的なのは、ユーモアを持って描かれて
いるから。そして、諦めたり無気力になったりするのではなくて、ずっと
「寄り添いたい」という気持ちが感じられるから。
「水泳チーム」「妹」「何も必要としない何か」「モン・プレジール」
「あざ」が特に心に残りました。
次の作品が今からとても楽しみです。
ミランダ・ジュライ初短編集
★★★☆☆
映像作家ということもあるのか、奇行なのに、鮮やかにビジュアルが思い浮かぶ。
ガーリッシュ特有の気分の悪さはジュディ・バドニッツとちょっと味が似ているけど、イヤ純度はこちらが上か(笑)
息が詰まりそうな孤独。そこから逃れるための奇行や妄想。共感できる妄想から独りよがりな妄想。その妄想が終わってしまうことに対して、逆に不安を感じてしまうから、そこに頼ってしまう。しかし、ある日、はっと妄想から醒めてしまう。でも、単なる孤独な状況に戻るわけじゃないんだよね。彼女たちには楽しかった日の思い出(妄想)があるから、前進か、少なくとも閉塞感からは抜け出せるはず。抜け出した先がハッピーかどうかはわからないけど。
お気に入りは、「水泳チーム」「階段の男」「妹」「2003年のメイク・ラブ」「動き」