恋のドレスか、闇のドレスか。
★★★★☆
クリスの作り出すドレスは、その人の心を映し出しているだけ――その気のない人まで恋に落とすことは出来ない。
今回はそれがよく分かると思います。
今回のドレスの依頼人は前の巻にもでていたコーネリア嬢。
コーネリアは以前登場したアップルの異母姉で、今回アップルも再び登場します。
彼女は愛人の子であるアップルに複雑な感情を抱き、アップルに自分の恋人だったビアードを近づけます。ビアードは権力と財産が欲しいだけ、姉でも妹でもどちらでも良い…。
コーネリアが仕掛けたゲームで、クリスは「夜想」の仕立て屋、ミセス・コルベールと出会う――。
シャーロックとクリスは相変わらず? 少しは進展しているような気もしますが…
いいところで邪魔が入るのでシャーロックは可哀想だなぁ、と(笑)
前の巻でアディルに少し心惹かれてしまったようなシャーロックでしたが、やはり優先順位はクリスの方が上のようです。
「恋のドレス」を着ていないアディルには興味もないようですし。
今後もアディルは登場する様子。どうなるか気になります。
彼女の真意
★★★★☆
人の気持ちをうつしとるドレスをつくる仕立て屋クリスと
誇り高い名門貴族の息子シャーロックの恋のお話。
前回で、親の勧める貴族の娘アディルに、
ちょっと心惹かれてしまったシャーロック。
自分でもショックだったらしく、動揺していましたが
クリスのドレスを着ていない彼女には惹かれず、一安心。
クリスへの想いを再確認したようで、読んでいる立場としても一安心です。
ここのところシャーロックのクリスへの態度にはいらだってましたが、
「さびしい?」とクリスにきいて、「いいえ」と言われときは
ちょっと同情してしまいました。
クリスは健気だけど、遠慮深いのも時には考えものかもです。
とはいえクリスは、シャーロックとの関係と同時に
恋をして変わってしまった母親のことでトラウマもあり、
自分の内側でも大変なことが多いので、
シャーロックにはもう少しはっきりしてほしい、とも思います。
いざ、というときには頼りになるのはさすがですが。
ドレスにまつわる事件の中心人物は、以前登場したアップルと
アディルの友人コーネリアという母親違いの姉妹。
クリスと、クリスの母親が正面から出会ったり、
闇のドレスにまつわる大きな動きも気になります。